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Weekly report

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 October Second week

 スマートスピーカーの第一弾が発売されました。先鋒を切ったのはGoogle Homeであり、税抜き14000円で日本市場に登場しました。この冬にはAmazon echoが、来年にはAppleのHome Podが発売される予定です。Amazon echoは米国で100ドル弱ですが、日本語機能を搭載するとGoogle Homeと同じような価格になるのかも知れません。Home Podは400ドル弱ですので出方がきになりますが、いずれにせよいよいよ日本でもスマートスピーカー競争が始まる予感です。

 スマートスピーカーとは、無線機能の付いた音声認識できるスピーカーであり、ネットワーク上のさまざまなメディアから音楽を再生することが可能になります。また音声認識機能が付いていることから日常の様々な問いかけを認識し、ネット上の情報を検索して音声で回答してくれます。さらに対応している電化製品であればそれらの操作も音声で可能ですし、その連携次第ではさまざまな可能性があります。今後各社がこういった製品を出してきますし、日本のメーカーも追従していくでしょう。ウェアラブル同様ホームコントローラーの新しい取り組みですから、今度どのような勢力がどのような機能によってホームコントローラの新しい時代を切り開くか、とても興味のわくところです。

 もともとホームコントローラの地位は、今から20年ほど前にHAViという規格が制定された頃に始まりました。今となっては知らない方のほうが多いのかも知れませんが、HAVi(home audio/video interoperability)という規格がSONYを中心に作られて、これによってオーディオやビジュアル機器を一括操作できる期待が高まりました。その接続のためにIEEE1394などという規格も作られ、ホームコントローラー市場が活性化するはずでした。PS2はまさにその目的で作られて機器であり、これを中心にさまざまな機器を接続されることが期待されました。しかし実際にはHAViはそれほど活用されることなく、対応する機器もそれほど作られませんでした。その後セコムやSOK(現ALSOK)などが、セキュリティ機器ベースのホームコントローラを提供し市場を獲得することを試みましたが、残念ながら本日まで目立った成功は収められていません。家庭のAV機器に関してはHAViとは別の団体が提唱したDLNA(Digital Living Network Alliance)が多くの機器に採用されることになり、一定の成果を収めているように思います。

 このように家庭内の電化製品やAV機器などをつないだ総合サービスを狙う企業は大きかったのですが、規格をベースとした展開だけでは市場を獲得することが出来ませんでした。しかし今回のスマートスピーカーは音楽配信やインターネットの音声利用といった明確なサービスを中心に展開が考えられているため、一定上の成功を望めるのかも知れません。現状はとりあえずスマートフォンの音声認識ソフトであるSiriやOk Googleのようなソフトをスピーカにつないだデバイスとなりますが、徐々にこのAIの機能が向上すればさまざまな可能性が生まれてくる可能性があります。

 たとえば非常の際に警察や消防に自動で連絡をしたり、音声だけで切符や宿泊の手配が出来たり、メニューさえいえば必要な材料をネットスーパーに注文したりと、さまざまな可能性が考えられます。指示した言葉の意味を理解しそれにあったサービスを提供するのはAIの得意技ですから、可能性さえ思い浮かべれば様々なシチュエーションで利用できるようになるでしょう。

 このようにスマートスピーカーが家庭内に置かれるということは、コンシェルジュを雇うようなものと私は考えます。さまざまなニーズに対して的確なサービスを提供するのはコンシェルジュの役割ですから、この簡易版と考えることが出来るのです。さらにAIの性能が上がれば外部との交渉や打合せもできるようになりますから、相当に便利な機能となります。さらにその家庭固有の情報を蓄積できますから、よりよいサービスを提供するだけでなく企業側としてもよいマーケティングデータとなり自社のサービスをPRする恰好の機会ともなります。その上その機能を家庭固有のデータごとロボットに搭載すれば、まさにメイドや執事として家庭内の様々な用事をこなしてくれるようになるでしょう。

 未来の一歩がこうやって静かに始まったことを、本当に楽しみに思いますし、そのような未来をだれ田どのように切り開いていくか、興味が尽きないところです。