新しいaiboが発売されました。
ご存じの通りaiboとは、1999年に発売された犬型ロボットであり、犬や猫などののペット同様人間とのコミュニケーションを
はかる目的で開発されました。人間とのコミュニケーションを重ねることでそれぞれの個体に個性が生まれ、まさにペットのように家族になつくというのが特徴のロボットペットでした。しかしSONYの不振により2006年に生産終了が決定し、2014年に保守部品の供給も打ち切られ、経年劣化と共に死と同様再起動しない個体も増えていきました。マニアの中には、ペット同様の葬儀を行ったり、再起動しない個体の部品を流用する、あるいは独自の保守を行う元SONYマンもいたりと息長く受け入れられた製品となりました。
しかし2016年にSONYはロボット事業再参入を宣言し、その一環として先日新しいaiboが発売されました。今回のaiboは第一世代と違い人工知能を搭載し、さらにネットワーク機能も搭載しています。人工知能により飼い主や家族の認識をしたり、部屋のレイアウトなども記憶していくようです。体にはさまざまなセンサーが搭載されており、呼ばれる声、触られる感触、見えるものに反応するようですし、今後数多くのプログラムが提供されおもちゃで遊ぶことや、さまざまな振る舞いができるようになるようです。
今回のaiboも発売と同時に売り切れが続出しており、相当な人気になりそうです。動物アレルギーや年齢的など様々な問題で動物を飼えない人にとって、今回のaiboは非常に魅力的なものといえそうです。
現在動物と触れることで病人の精神的・肉体的な健康を取り戻す、アニマルセラピーが流行っています。犬や猫のペットだけでなく、馬などの大型動物もその対象であり、それらとのふれあいが人間の健康にとってよい結果をもたらすことが知られてきています。しかし命ある動物を飼うのは、さまざまな意味で大変です。日々の食事や散歩、定期的なトリミングや風呂入れなど、労力も手間もかかります。アニマルセラピーを要するということは、精神的・肉体的に問題のある人間が家庭内にいることになりますし、そうだとすると動物を飼うことは負担になります。こういった家庭だからこそ、擬似的ではあれアニマルセラピーに近い効果のあるaiboは必要となるのでしょう。
こう考えてみると、ペットとロボットの違いはなにかということがとても気になってきます。aiboとペットに共通するのは、自らコミュニケーションを取ろうとすることかも知れません。動物の場合飼い主の気持ちとは関係なく、ペットのほうからコミュニケーションを取りに来ます。飼い主に余裕や時間があればかまうことはあるでしょうし、忙しければ無視することもあります。ただし人間とは違い一度や二度無視をしても諦めることはありませんし、かまってくれるまで様々な形でコミュニケーションを取ろうとするのが動物の特徴です。また犬や猫などの動物は、飼い主の気分や雰囲気を察している可能性も高いです。寂しい思いをしていたり考え込んでいると、それを察してコミュニケーションを取ろうとしてくるのがそれらの動物です。となると、ロボットのプログラムがそういう振る舞いをするのであれば、人間には動物同様に思えるのでしょうし、そこに生命が宿っていなくても愛しい存在になるのかも知れません。
しかしこれが人間と会話できるようになると、話は別になります。会話そのものが面倒、あるい話をしたくないときに会話をされると、余計にいらだつのが人間です。となると、人型ロボットがaiboのような地位を獲得することは難しいのかも知れませんし、だからこそこういった特殊な目的をもったロボットの重要性があるのかもしれません。
aiboは、こうしたロボットとの共存のあり方や、ペットとロボットの違いについて我々に考えるべきテーマを与えてくれます。これはスマホなどの身近なデバイスのあり方をも考える、一つのきっかけになりそうです。人と機械の共存、人とテクノロジーの距離を考えるきっかけを、aiboは与えてくれます。