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Weekly report

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 January Fourth week

 早くも一週間が過ぎ、Weekly reportの更新となりました。仕事はしているのですが、どうも最近はネタが見つかりません。歳をとると、いろいろ感性が鈍くなっていることをつくづく感じます。

 先日平日に仕事がない日があったため、久しぶりに家内と東京散策に向かいました。まずは築地で昼食をとり、築地場外市場で買物をしました。昔の築地場外市場は本当に午前中の早い時刻に店が閉まっていましたが、現在はすっかり観光向けに街が変貌し午後も人で一杯です。一番変わったのは寿司屋の数だと思います。昔は本当に料理関係の食材や什器などの店が大半でしたが、今は数軒に一軒が寿司屋という感じで本当に寿司屋が増えました。また立ち食いできる魚介類の店も多くなりましたし、観光客向けのお土産を扱う店も増えました。道行く人々もほとんど外国人であり、店先の表示やメニューも多くの外国語が表示されていました。日本を訪れる外国人にとって、日本の食文化を知る上では非常に便利な場所になったのでしょう。私のように古い築地を知っている人間には、ちょっと寂しい感じも残ります。

 その後北上して最近谷根千といわれる谷中の商店街を散策しました。最近はおしゃれな街ということで有名になったようですが、25年ほど前に仕事で通っていた頃は単に古いだけの商店街であったような記憶があります。しかし現在は古い店の後にカフェ等が入り、今風の雑貨を取り扱う店も出来たりと確かにおしゃれな感じにはなっていました。しかしその規模は小さいですし、住宅地の商店街同様すこしずつ寂れた感じも残ります。平日のせいか築地に比べて明らかに人は少なく、さみしい印象でした。週末は観光客で賑わうのでしょうが、普段は本当にどこにでもある商店街に思えましたし、昭和の風景といえるのかもしれません。ここでは外国人の姿も少ないですし、築地ほど観光のための変貌は感じられませんでした。

 千駄木からは台東区が運営するコミュニティバスで、上野に向かいました。最近ではあちらこちらの街でコミュニティバスを見かけるようになりましたが、私自身乗ったのは初めてでした。台東区のコミュニティバスはマイクロバスのような小型のバスであり、併走する都バスの半額の運賃で移動ができます。通行ルートは住宅街であり、車一台がどうにか通れる住宅の間を走って行きます。地元の人間が各駅間を移動するには、本当に便利な交通手段といえますし、車の運転が危険になってきた老人にとって本当に利便性が高い交通手段のように思えました。

 最後に訪れたのはアメ横でした。ここは昔からずっと猥雑な雰囲気が変わりませんし、裏道を含めてさまざまな店が所狭しと並んでいます。ここばかりは寂れた感とは縁遠いと思いましたし、外国人の数も築地に負けないぐらい見かけました。アメ横で以前より多くなったと感じられたのは、魚屋の数でした。確かに昔から魚屋はあったのですが、昔は鮭やたらこなどの塩蔵品が多かったように思われます。しかし現在は鮮魚を扱う店が多く、価格も非常に安いように思いました。築地場外市場が観光客を対象にしたビジネスのように思われましたが、アメ横はやはり昔からの庶民の買物の場のように思います。

 しかしアメ横センタービルの地下は、本当に怪しいアジアの食材市場の雰囲気です。通路は人一人がどうにか通れるぐらいの通路の両側に、山のように商品が積まれています。基本的には肉屋と魚屋なのですが、売っている食材や部位が日本では見かけないものもが多いです。水槽にあふれんばかりのコイはいますし、日本ではみかけない鴨やアヒル、ウサギなども売っています。牛や豚の内臓も売っていますし、あらゆる部位の取り扱いがあります。生きたスッポンや海老、お店ではあまり見かけない魚なども数多く売っています。私のように料理をする人間にとっては、世界中の料理の材料が集まっているこの場所は有り難い限りです。結局アメ横では生きた車エビと牛テール、大ぶりのしいたけを買って帰りました。(車エビは、冷蔵庫で翌日の夕刻までほとんど生存していたのは本当に驚きでした。)

 今回三つの街を歩いてみて感じることは、商店街そのものが活気を失っている現状です。観光客を含めた多くの人が集まる場所にはまだ商店街が生き残る可能性がありますが、少しでも人が減ってしまうとお店がなりたたなくなる、というのが現在の実情なのでしょう。40年ほど前、スーパーマーケットの拡大と共に地元の商店街はかなり苦境に陥りました。しかし近年のネットビジネスの拡大は、スーパーマーケットさえ苦境にさせる状況であり、小さな商店や商店街が生き残る余地はないのかも知れません。シャッター商店街もどんどん更地になり、商店街の所々にマンションが建ってしまう現状は、生活の面だけでなく仕事の面でも実は非常に危機的な状況に思えます。ネットとリアルのあり方、そして我々の質の高い生活のあり方を本気で考え始めなければならない気持ちになったのが、今回の散策の正直な感想です。