いよいよ平昌冬期オリンピックが始まりました。実は私はオリンピックがあまり好きではないのですが、今回の開会式のドローンの素晴らしさには、さすがに驚かされました。
今回のドローンですが、インテルのドローンチームが担当したようです。実に1218機ものドローンを同時に
操作し、鳥の姿からスノーボーダーへ、スノーボーダーの姿から五輪のマークに変化していく様子にはさすがに驚かされました。ドローンの大きさは40CMほどの大きさのIntel®
Shooting
Star™という群飛行を可能にした専用のドローンのようですが、プログラムによってたった一人の人間が操作をしていたようです。一機一機が位置情報をセンチメートル単位で把握して動作するのはすごいと思いましたし、おそらく風があったにもかかわらず微動もせず飛行している姿は、CGを見せられているような錯覚にさえ陥りました。
日本では余り見かけないドローンですが、やはり世界ではものすごい勢いで普及が進んでいるようですし、普及に伴って性能も向上しているようです。ドローンの航続距離やペイロード(可搬重量)は年々高まっていくでしょうし、これによってあらゆる産業での活躍が期待できます。小口荷物の配達は海外では当たり前になってきましたし、工場の警備や建築現場の確認など、さまざまな利用法があります。
今回のオリンピックでの活躍を見ていると、やはり災害時の利用方法を考えてしまいます。LEDがあれだけの輝度で光ので、夜間の避難等の誘導やメッセージの表示を空中から行えます。あるいは赤外線カメラで被災者を捜し、その箇所をLEDの矢印で表示したり、倒壊した建物やギャップの生まれた道路の中でどのようなルートで救援に向かえば一番効率的かを指し示すことも出来るかもしれません。無線や電話を使わなくても目視できる距離であれば遠隔地同士でコミュニケーションを取ることが出来るかもしれませんし、その可能性は無限のように思えます。
しかし同時に、これだけ高精度の飛行が出来るということは、新たなテロ等の可能性も高まります。爆弾やサリン等の薬品を積んだドローンを数千機の編隊で飛行させ、同時に複数のターゲットを狙うことができるようになりますし、一つのターゲットに対して複数の機体を割り当てれば、その成功率は極めて高くなってしまいます。走っている車にピンポイントで攻撃を仕掛けたり、建物内も事由に飛び回り攻撃することができるようになるかもしれません。また警備の厳しい箇所でも、ドローンを使って武器や爆薬等を運ばせることもできるようになるかもしれませんから、ゲートでの身体検査などを行っても、会場内で武器や爆薬を入手することも可能です。
恐ろしいのは、それらをテロリストが操作しなくても、事前のプログラミングで可能になる点です。たった一人のテロリストが、機材さえ入手できればこういった攻撃が可能になりますし、自分が実行犯としてその場に存在せず犯罪が起こせますし、ネットを利用して遠隔の操作も可能です。実際今回の平昌オリンピックでは、ドローンによる攻撃を防ぐための装置や撃墜するための銃なども準備されており、犯罪やテロの可能性は事前に検討されていたようです。
このようにITの進化と共に、これまで不可能だったことが可能になります。ただしそこにはビジネスや生活が便利になる日向の世界だけでなく、犯罪やテロのような平和を脅かす日影の世界も同時に広がっていきます。我々は日向だけに気を取られず、日影もきちんと意識しながら新しい世界を切り開いていかなければなりませんし、日影を恐れて進化を止めてはいけません。