このところ毎回同じことを書いている気がしますが、早くも3月になりました。企業はいよいよ決算に向けて最後の追い上げですし、新人さんの受け入れ準備に奔走している時期かもしれません。
さてこのところ私の自宅周辺で、マンションの建設が続いています。半径2km圏内でも7〜8棟ですから、かなりの建設ラッシュのように思います。中大規模なものものありますし、商店街のすき間のような所にいわゆるペンシルビルのようなマンションも建てられています。商店街の小さい商店がどんどんなくなり、何割かがマンションになっているのは商店街としては異様な風景ですが、それが当たり前
に思えるほどマンションが増えているような気がします。さらに住宅地の中にも更地やアパートが次々建設されており、町の様相がすっかり変化しているように思います。
日本の人口は減り続けており、同時に地方から首都圏への人口流出も続いています。さらに超高齢化が今後もつづきますし、子供の出生率は下がっています。どこの介護施設も満杯であり、おかしなことに保育所などは恒常的に不足しています。団塊の世代が都合良く作ってきた社会構造がいよいよ破綻に向かっており、早急に人口減に向けた対策を講じる必要があるのです。
こういった状況を考えると、やはりこのペースのマンション建設は異常に思えます。いくら地方から住民が流入していくとしても、これだけの規模を賄う人口増とは思えないのです。狭小なアパートからの住み替え、あるいは自宅の購入と考えても、これだけの戸数が埋まることはやはり考えにくいと思われます。私の最寄り駅から新宿まで
40分程度ですが、都内勤務と考えると決して近いともいえない場所です。そこにわざわざ住み替えなくてももっと都心にと考えてしまいますから、このマンション建設ラッシュは奇異に感じてしまいます。
さらに恐ろしいことに、私の自宅のあるマンションも超高齢化が進んでいます。建設されてかれこれ45年ほどたっていますから、年々平均年齢が上昇するだけでなく独居率も高まっています。この調子でいけば、あと10年もすると空き家が増えていくでしょうし、賃貸で市場に出しても新しいマンションが過剰に供給されていますから人が入居者のあてもないように思われます。定期的にメンテナンスされて耐震補強もやっていますので賃料を下げれば入居者はあるかもしれませんが、全部の戸数が埋まるほど多くは見込めないでしょう。
もちろん老人達にも子供がいますが、私と同様の年齢のためそれぞれが自宅を所有したり別の地域に住んでいたりと、いまさら両親の住んでいた古い実家に戻る必要性は低い方が多いと思います。現に私の両親も存命ですが、仮に別の場所に私が住んでいたのなら、住み慣れたそこを離れてわざわざ実家に戻る必要性を感じないでしょうし、固定資産税さえ払えれば空き家
にしておいてもかまわない、という考えになると思います。
同様の事象は私の住んでいるマンションだけでなく、一戸建ての住宅でも起きています。近隣の古い家屋が更地やアパートになっているのが証拠でしょうし、庭木などがまったく手入れされていない古い家屋も少なからず見つけることが出来ます。これは私の住んでいるエリアだけの問題でなく、日本全体の問題です。
そうなると、相続をした人間でも地元に知り合いなどがいなければ、空き家となった実家を民泊利用に転用する人も出てくるでしょう。マンションの管理規程棟で禁止しても闇取引で貸す人間もいるでしょうし、一戸建てであればなおさらです。それが地域のスラム化を生んだとしてもそこに住んでいない貸し主にとってはどうでもいいことでしょうし、こういった問題を防ぐことは難しいでしょう。さらに悪く考えると、そういった目的で日本のマンションや住宅を保有しようとする外国人もでてくるでしょうから、この問題の解決は難しいと思われます。
となると、やはりこれまでのルールを改め、今後に向けた改革を国、自治体、そして住民自らが行っていかなければならないと思います。まずは空き家問題。更地に戻すと費用がかかりますし、固定資産税が3〜4倍になってしまいます。かといって古い家屋を放置しておくと不法占拠やスラム化が進んでしまいます。となると、相続によって建設後一定年数以上の期間が経った建物を取得した場合、更地にする費用補助と固定資産税の減免を認めるべきでしょう。さらにそういった土地
・家屋が多いエリアは自治体が指定を行い、一定額での買収を行い広い面積の更地を作るべきです。自治体
が更地を取得したのであれば、そこに高齢者向けの集合住宅を建設し、高齢者を積極的に収容すれば良いと思われます。もちろん等価交換の形でその土地の高齢者を移住させることもありでしょう。こうすれば、放置された古い家屋が減りますし、更地にすることで転売の可能性も生まれてきます。
さらに収容児童の減った小学校や中学校そばなどのエリアでは、若い世代向けの公営住宅を建設し安価に貸し出すことも意味があると思われます。建物内や近隣に自治体が管理する保育施設も建設すれば、若い住民が増え自治体の税収も高まるはずです。
こうした施策と並行して、スラム化を進める無軌道なマンション建設に歯止めを掛けるべきです。小さいマンションほど民泊などの投資対象の物件になる可能性がありますから、このような施策は重要です。また大規模マンションに関しても、付近の空き家状況を判断して許可すべきです。新たに立てるよりも古い建物を活用する方が無駄は少ないでしょうし、古くから住んでいる住民も街並みが破壊されないのでメリットがあるはずです。もちろん商業地や観光地の近くでは、住民に迷惑がかからない形で民泊も認め、きちんとした管理下で旅行者を迎えることも重要でしょう。
これまでの日本は、住民が増えることをベースに様々な仕組みやルールが作られてきました。成長期においては、民間の活力を失わせない自由な競争環境を作ることが優先されてきたのは当然のことのように思います。しかしながら日本はその成長期を終え、緩やかな衰退期に入っています。だからこそ政府や自治体は場当たりの都合の良い政策を積み重ねるのではなく、少ない人間でもきちんと社会が回り、全体の幸福を享受できるようなルールや制度の変更を積極的に行う時期にきたと私は思います。