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Weekly report

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 April First week

 2018年度が始まりました。今年も多くの新人さんがさまざまな企業に就職され、ビジネスパーソンとしての一歩を踏み出すのでしょう。期待と不安は例年のこととしても、今の新人さんには自分のしたいことよりも、自分にしてもらえることに対する期待と不安のほうが多いのかもしれません。

 かれこれ25年以上新人研修を行っていますが、新人さんの素直さ、真面目さ、順応性の高さは年々高まっているように思います。その反面新人らしい無鉄砲さや反骨心、自身の能力に対する無自覚さは年々見えにくくなっているようにも思います。よくいえば完成された若者なのでしょうし、悪くいえば成長の余地が限られているようにも思えてしまいます。それでもその未熟で思い込みで作られた殻を早く壊して欲しいと思いますし、新人らしい柔らかいモノの考え方と創造性を活かして、ビジネスの世界で一人でも多くの方が成功されることを心から願いたいと思っています。

 さて、トヨタ自動車が、バッテリー交換型の電気自動車の開発を開始したようです。

 電気自動車の弱点は、充電時間の長さです。現在の急速チャージの仕組みを使っても、一定の走行可能な充電量になるためには10分程度の時間がかかります。となると、急病人を病院に運ぼうとしている最中にバッテリー切れが起きると、充電施設で一旦車を停止し10分間の充電が必要になります。これでは急病人の生命にも関わる大問題に繋がりかねません。そこでトヨタ自動車はバッテリーを交換式にし、充電時間の問題を解消することを検討しているようです。

 ここで私の講座の受講者は気づかれたと思いますが、この方式5年以上前から私が提唱している問題と改善案です。現在のガソリン車のように、燃料切れの時にタッチ・アンド・ゴーで補給が終わらないのが電気自動車の問題と言い続けてきましたし、それを改善するためにはバッテリーの交換しか方法がないのではないか、というのが私の考えでした。やはり同じことを考えるエンジニアは少なくないようで、今回のトヨタ自動車の開発に繋がっているようです。

 こうやって書いてみると、自分の自慢のように感じてしまいます。あたかもトヨタ自動車より先見の明が私にあったことを述べたいよう取られてしまうからです。しかしあえて誤解を恐れずに今回のことを記述するのは、問題解決の先にあるゴールには方向性とパターンがあるということ、ならびにそれは現状の不便や不自由をいかに多く気づくかがポイントであることを皆様に伝えたいためなのです。

 新しい製品やサービスが生まれる都度、多くの方はその発想や利便性に驚きます。しかし実はその製品やサービスを利用して不便を感じ、その解決方法を考え続ければ、実は同じような解決策に行きつくことは間違いないと私は思っています。そしてそれは一部の天才的な人間のみに許されたものではなく、私のような凡人にでも可能であることを皆様に知って欲しいのです。

 これまでも私は、PDA(電子手帳)+CCD(動画カメラ)+PHS(低コスト通信)の組み合わせが世界を変える、と予言したことがあります。シャープのザウルスがビジネスシーンを席巻していたときですから2000年頃の話だと思いますが、モバイラーの私の結論は、こういったデバイスの出現がビジネスを大きく変えると信じていました。結果世界に広まったのはスマートフォンであり、まさに私の予想通りの製品となりました。ビデオテープ→レーザーディスク→DVD→ブルーレイと常に最新の映像機器とソフトを買い集めてきた古く萎びた映画マニアにとっては映画の配信も必定でしたし、ARドローンを見た瞬間にドローンの有望性にも気づきました。その都度講座の雑談でお話しし続けたことですが、多くのことが実際に実現されているように思います。

 となると、私が非常に特殊な人間かといえば、ご存じようにまったくそうではありません。むしろ一般の方よりも劣った部分が多く、物事の理解に人一倍の時間も未だにかかります。ただ事故や問題を含めて多くの新しいことを未だに面白いと思っていますし、それを解決するためにどのような方法があるかを常に考え続けています。

 かつて刑事コロンボという、私の好きな刑事ドラマがありました。中年から初老のさえない刑事の推理ドラマでしたが、そのさえない外見からは想像できない知力と想像力、そしてなにより執念にも近い地道な捜査力でさまざまな難題を解決するという刑事の姿は、私の憧れでもありました。そのストーリーの一つに、コロンボが世界有数の天才クラブに所属する会計士の完全犯罪を暴く、というものがありましたが、私にはその中のコロンボの台詞が未だに忘れられません。

 But I figured, if I worked harder than they did, put in more time, read the books, kept my eyes open, maybe I could make it Happen. And I did.  Frank Columbo

 しかし私は、彼らより熱心に働くこと、十分時間をかけること、沢山の本を読むこと、注意深く過ごすことをすれば、私も出来ると考えた。そして、私は成し遂げた。  フランク・コロンボ

 コロンボ刑事のいうとおり、どんな凡人でも努力をすれば一角の人間になれることは間違いないと私は信じています。

 今年社会にデビューする自分の実力に自信のない若者が、数多くのことを成し遂げること、そしてそれを実現する社会が出現することを、心から願いたいと思っています。

P.S.
 ちなみに電池交換型の自動車には、いくつかの運用上の問題があります。それをトヨタ自動車がどうやって解決していくかを、私は仮説を持って楽しみにして見守りたいと思っています。その結果がわかるのは、5年後かもしれませんが...