Onomura System Consulting Office       

osco top


Weekly report

next

back

 

 

 

 

osco top

 April Second week

 いよいよ新人研修が始まり、いくつかの会社の新人さんとご一緒させていただきました。今年の新人さんは、例年にもまして元気であり、明るい印象でした。ただ考える力は相変わらずであり、思考の訓練は例年以上に必要に感じました。

 今年の新人といえば、メジャーリーガーの大谷選手でしょう。オープン戦においてはほとんど成績が残せず、実戦の場ではまだまだ実力が足りないといわれていました。しかし実戦であるペナントレースが始まると、ピッチャーとして初戦で一勝を挙げ、バッターとしては出場3試合で3ホームラン7打点の成績を残しました。活躍するのが難しいメジャーリーグで開幕早々これだけの成績を残したですから、今後の活躍にも大きな期待が持てます。

 大谷選手は1994年生まれですから、浪人していれば今年の新人さんと同じような年齢です。日本のプロ野球界で活躍したとはいえ、メジャーのデビューはかなり状況が違うでしょう。新しい世界に対する戸惑いもあるでしょうし、自分の実力に対する不安もあるはずです。何より言葉も食べ物も違う国での活躍ですから、そのストレスたるや想像を絶するものがあるはずです。

 さらにオープン戦ではさんざんの成績であり、一軍での活躍はおろか二軍からのスタートとなるのではと噂されるほどの状況でした。ベーブ・ルース以来の二刀流選手にいったんは注目した米メディアも、次第にその実力に疑問符を付けだし、ピッチャー、バッター共にメジャーリーガの水準を満たしていないと判断されもしました。その評価が大谷選手の耳に入らないわけがありませんし、事実結果もでませんでしたが、彼が素晴らしいのはそこからのように思うのです。すなわち、日本で成功したやり方を信じてそのまま対応しようとするのではなく、成績がでない理由を考えて原因を自分なりに見つけ出し、本番の時にはフォームを変えて対応するというのが大谷選手の素晴らしさのように思えます。

 さらに大谷選手が超一流と言われるゆえんは、その変化をすぐに自分のものにし、実戦で成果を出せるという点でしょう。スポーツ選手が投打のフォームを両方変えるというのは相当に勇気がいりますし、その両方短期間で成果をだせるというのは普通はあり得ないことです。しかし大谷選手はあえてそれに取り組み、ピッチャー、バッターともに成績を出していることは驚嘆に値すると思いますし、超一流の証明なのでしょう。もちろん今後は対戦球団共に相当な研究をしてきて、ピッチング、バッティングとにも現在のようには成績を残すのは難しいかもしれません。それでもホームラン3本は消えることがないでしょうし、ピッチャーとしての勝利数も減ることはありませんから確固たる記録が残ることは間違いありません。

 今年社会人としてデビューする若者は、大谷選手と同じ時代を育った世代です。バブル崩壊後の世の中でデジタルネイティブとして育ってきた世代ですし、目立つことをよしとされない環境で育った世代といえます。ともあれさまざまな自由が提供された時代ですし、年々チャンスが増えている世代のはずです。現に昨年の就職戦線は超売り手市場でしたし、その中で社会にでてきたのが彼らです。となると、彼らも大谷選手のように物怖じせず、新しい社会で活躍できる可能性があります。

 大谷選手同様、最初はどんなに上手くいかなくても諦めることなく、冷静かつ真剣に環境に適合できない原因を探し、結果を恐れることなく大胆に修正をしていただきたいと思います。その上で実戦の場で成果を発揮し、誰もが驚く実力を発揮し続けていただきたいと思っています。だからこそオープン戦である新人研修で目先の成果を求めるのではなく、実戦で要求されるあらゆる技術を身につけ、試し、そして修正を図っていただきたいと思っています。

 今年の新人さんが、その実力を発揮するのは夏以降でしょう。この長いオープン戦を、目的を持って確実に過ごしていただきたいと、心から願っています。