楽天のキャリア参入が決定しました。
インターネットショップの再大手である楽天ですが、いよいよ通信キャリアにも参入です。ライバルはNTTドコモ、au、ソフトバンクと非常に強力で大きなシェアを握っていますが、その中に後発キャリアとして挑戦を果たすようです。ドコモ一極集中からauとソフトバンクは市場を奪ってきましたが、安価な二次キャリアの参入もある中楽天がどのような展開を図るかは、興味のあるところです。
これまで楽天は、MVNO(Mobile Virtual Network
Operator)としてNTTドコモの回線を借り受け携帯電話事業を営んできました。しかし回線を借り受けるコストが高いうえ、NTTドコモの基地局等の事情等に左右されるため自由な営業を行いにくかったと思われます。今回自ら基地局を持つ通信キャリア事業に参入することで、自由度の高い環境でこれまで同様安価なサービスを提供し一定の市場規模を獲得するものと思われます。しかし自前で基地局の開設とネットワークの敷設を行う上その環境の維持管理コストも必要となりますから、楽天の資本力を持ってもなかなかチャレンジャブル取り組みになると思われます。楽天が成功するか否かは来年以降の営業開始を見守らなければ解りませんが、激しい市場競争の中どのような独創的なサービスを提供していくかは非常に興味のわくところではあります。
但し今回の総務省の電波割り当てに際して、楽天に「必要資金の確保」を要求しています。楽天は今回のキャリア進出のために6,000億円を準備したようですが、その額は大手キャリアの一年分の設備保守のコストと同額といわれています。今後安定したサービスを提供するためにはより大きな資金が必要となる可能性がありますし、それが楽天全体の足かせになるかもしれません。
Amazonの独走が続き、楽天のインターネットショップとしての魅力は上がっていないように思われます。楽天市場の検索ノイズは他社よりも多いように思われますし、店舗毎に別れた商品をさがすのはAmazonに比べて手間かもしれません。Koboもキンドルほどの成果は上がっていないように思われますし、海外企業の買収も、めざましい成果とはいえないようにも思えます。銀行や証券などの金融グループの成績はよいようですが、やはり収益の柱としてもう少し成果がほしいというのが、現状の楽天のように思えます。
今回の通信キャリア進出は、そういった思惑の中で決断されたように思いますし、通信キャリアとしてこれまでのビジネスとどういったコラボレーションを実現するのかも、非常に興味の残るところではあります。
今後の楽天の勝負は、それぞれのビジネスで成果を上げるということではなく、さまざまな柱をまたがったシナジー効果を生むことのように思えます。顧客のためにどのような独創的なサービスを創案し、それを実現するために各事業がどのような展開をするか、その速度と協調度合いは今後のビジネスの鍵になると思います。三木谷氏の頭の中には明確なビジョンがあるのでしょうが、それを実行する各事業のトップの旗振りが鍵になるように私には思えます。
一人の天才が描く夢が壮大でも、それを実現する参謀の手腕が成否を決定づけます。ジョブスとウォズニヤック、本田宗一郎と藤沢武夫、ビル・ゲイツとポール・アレンのように、三木谷氏の参謀となる後の偉人が、今回のビジネを成功させることを願うと共に、その偉人が沢山日本に出現することを心から願っています。