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Weekly report

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 July First week

  いよいよ7月に入りました。先週金曜日である6月29日、東京は観測史上初めての6月の梅雨明けとなりました。翌日からうだるような暑さがつづき、早くも夏本番が始まったようです。

 それにしても7月中旬まで梅雨明けはないだろうと思っていましたが、予想に反して6月中に梅雨が明けてしまいました。29日は熱川にいましたが、晴天と雲の様子が夏空のように思えました。しかし時間と共に強い日差しを隠すように雨雲があっという間に現れ、土砂降りの雨も降りました。その様子はサイパンの雨期のようであり、強い日差しとスコールの繰り返しと同じように思えましたので、気象変動の影響で梅雨の様相も変わったのかなと思っておりました。しかしまさか夏が到来していたとは、ただただ驚きです。

 今年の梅雨もそれほど大雨が降った記憶がありません。東京の水瓶も例年より水位が低いようですし、この調子ですとまた成果に水不足に悩まされる可能性もあります。しかし地球全体の海水温が高まっていますから、想定外のスケールの台風が到来する可能性もあり、災害と同時に大量の水を局地的にもたらす可能性もあります。水がなければそれを憂い、台風で水害が起きるとそれも困る、といつまで経っても自分本位の我が儘なのですが、それが人間の本質なのかもしれません。

 気象の予報精度は、情報技術の進歩と共に確実に上がっています。しかしそれは短期の間だけであり、長期になるとやはりそれほど精度が高いとはいえません。気象に関する過去のデータと現在の観測値から予報が行われていますが、そのデータの量は膨大なはずです。また気候変動により異常値や変数が幾何級数的に増えているでしょうから、データの処理量も半端ではないと思います。どんなにIT機器の性能が向上しても、やはり現在の技術では大量のデータをもとにシミュレーションするのは非常に時間がかかるでしょう。そうなると、現在の情報技術では短期的な予測しか難しく、データ量と変数の多い長期予測はまだまだ難し乃田と思われます。情報技術の進歩と共に徐々に速度が向上し単位時間に計算できる処理量は増えていくのでしょうが、半年とか一年の単位で予測ができるまでにはまだまだ時間が必要なのでしょう。

 同時に大量のデータを効率よく分析しより高い精度の予測を行うためには、プログラムの質も重要になります。どのようなデータをどのように分析し気象状況の因果関係をつかむか、その因果関係をもとに最新のデータを幾通りもの組み合わせで処理するかを精度良く計算するためには、やはりプログラムの品質が問われると思います。処理そのものはAIが行うとしても、そのルールと計算内容を考えるのは人間の仕事ですし、それをAI自身がみずから行えるようになるまでには、やはり多大な時間が必要になるはずです。AIの進化により仕事は失われますが、こういった創造性の高い仕事はやはり人間に残ると思われます。さらにそのためには、斬新な発想で緻密なロジックをくめる人間を創出していかなければなりませんから、技術者に育成に携わる我々にとっては非常に重たい命題のように思われます。自然発生する天才の出現を待つのではなく、確実に新たな発想を生める秀才をどのように育てていくか、我々に大きな課題が提示されているように私には思えます。その答えは私には出せないのかもしれませんが、その一歩でも手伝えるような研修を、これから真剣に考えていかなければなりません。

 さて先週の梅雨明けと同じ日、日大のアメリカンフットボール事件に関する第三者委員会の中間報告が行われました。この事件に関わった関係者百数十名に対する聞き取り調査等により事実確認が行われ、現時点での調査内容についての概要が発表されました。結果はやはり監督とコーチによる指示のようであり、学生その他の関係者の大半がその指示を知っていたにもかかわらず、事が大きくなってから二人が嘘を重ねてきた事が明白になったようです。日大側の依頼によって行われた調査ですが、結果として日大の指導体制に大きな問題があることがあきらかにされました。これによって、事件を起こした選手の名誉が回復されたこと、嘘をついている大人二人の醜さが明らかになったようです。

 不正を教唆したにもかかわらず自らそれを否定し、不正を実行した人間にだけ責任を負わせて自らはひたすら保身だけをはかるのは本当に醜い行為です。さらにその行為が法に触れるレベルのものであればあるほど、その保身の醜さが際立ちます。それを名監督と謳われた人間が行うということが非常に愚かしいですし、名監督が故に何をしてもかまわないという傲慢さは醜いとしかいいようがありません。

 しかしこれと同じことは企業内でも数多く起きており、その多くは残念ながら権力者によって隠し通されているというのが現実なのでしょう。不正によって相手企業はダメージを被りますし、それを行った人間は発覚すれば責任を取らされる。本当に卑怯で醜い手を使う人間が名経営者としてその会社に君臨し、長き期間自分の権力を振りかざしていることは間違いありません。このアメリカンフットボールの事件を他人事と思わず、こういったことを暴き本当に醜い権力者に責任を取らせる、そして再発を防止するための社会的な仕組みを我々は考え始めなければならないと私は思います。