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Weekly report

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 July Second week

  日本のワールドカップが終了しました。優勝候補のベルギーと死闘を行い、アディショナルタイムに力尽きてしまいました。日本の善戦に心躍った方も多かったと思いますし、あと一歩で8強の座を失ったことの残念さをかみしめる方もより多かったようにも思います。いずれにせよ過酷な死闘を重ねた代表選手に感謝をしたいと思いますし、異例な時期から監督を引き受け結果を出した西野監督にも賞賛を伝えたいと思います。

 試合の内容は皆さんご存じのとおりですが、ワールドカップが始まる前には結果が出せず、ここまでの善戦を重ねるとは誰も予想しなかったように思います。ワールドカップが始まってからも、グループリーグを突破するための戦略も世界中から批難されたりしていましたし、決定力不足も伝えられていました。しかし ベルギー戦では優勝候補を相手に先制点を決めましたし、集中して攻守を行っていたように思います。ただ後半早めに得点してしまったが故に集中力が途切れた終盤に3点を許してしまったのは、改善点なのかもしれません。

 私はサッカーは素人ですが、今回の選手は本当にのびのびと戦っていたように思います。監督の交代により戦術等が徹底されないまま試合に臨む結果になりましたが、中心選手が自律的に戦い、よりよい結果を出し続けたように思います。 ベルギー戦も結果として負けましたが、優勝候補を最後の最後まで追い詰めたのは本当に選手の力だと思います。逆に最高のパフォーマンスを発揮できる選手を先発させた監督の手腕も素晴らしかったと思います。日本人監督だからこそのメンタルとフィジカルの最良な状態を見抜けたと思いますし、外国監督が選手を駒として扱うのとは違い日本人ならではのきめ細かさで選手を選んだのは日本人選手にはあっているように思いました。

 もう一つ素晴らしいと思ったのは、試合後のサポーターのみならず選手の姿勢です。これまでもたびたびサポーターによる試合会場の清掃が報じられてきましたが、今回は選手の控え室の画像がFIFAのスタッフからSNS上にアップされました。その画像には、たった一つの忘れ物もゴミもなく、整然とかたづけられた部屋の机の上にただ一つ「СПАСИБО(ありがとう)」と書かれたプレートだけが残されていました。おそらく選手やスタッフが主導して片付け清掃した結果と思いますが、年間数千万円〜数億円をかせぐスタープレーヤーが自らこういう姿を見せるのは、日本人ならではと思いました。「立つ鳥跡を濁さず」の言葉が現代の一流の若者にも浸透しているのは、誇らしい限りです。

 試合後の本田選手が、「若い選手には世界に出て欲しい」という言葉は、長年世界で活躍したからこその重みのある言葉に思いました。世界で活躍するからこそ世界のレベルに気づきますし、そのレベルに到達するために自ら、チームが何をしていかなければならないかを知ることができます。日本だけに閉じこもって日本の考える世界に向けて練習しても、それは世界を目指すことにはなりません。世界を目指すからこそ通用しなくても世界にチャレンジし、そのレベルを知り、自らが改めるべき所、自らを強めなければならないところを見つけてひたすら世界で研鑽する。これのみが世界に通用する秘訣なのかもしれません。

 しかしよく考えてみると、こんな当たり前の事を30歳前後の若者に教わっていることを、日本の経営者はどう考えているのでしょうか。現在の世界への礎を作ったのは団塊の世代ではなく、戦前生まれの人々です。焼け野原になった日本の状況を諦めることなく、徒手空拳で世界にチャレンジしていった若者が今の日本の礎を作っています。それは本田宗一郎であり、松下幸之助であり、盛田昭夫であり、早川徳治であったはずです。彼らは決して若くありませんでしたが、戦後の日本から果敢に世界にチャレンジしていったのであり、その精神がやがて日本製品の優秀さを世界に知らしめることとなりました。最初は相手にされなくても、ひたすら世界から学び世界を越える、こういう世界に挑戦しようとする気概を持った経営者が日本の地位を築いたのです。

 今でも、日本の若手の経営者はひたすら世界にチャレンジしようとしていますし、新しい考えやビジネスで世界を変えようとしています。しかし肝心の日本の名門企業の経営者に、その気概がほとんど見られないのはなぜなのでしょうか。さらにそこに勤める若者にも、こういった気概を感じないのは何故でしょうか。世界のビジネスのレベルを知り、それに勝るとも劣らぬサービスや製品を作ろうとしない限り、日本の明日はない気がします。なぜなら、世界の豊かではない多くの国が、これと同じ気概を持っているからです。豊かな国はその見かけの豊かさにチャレンジを忘れ、いつしか昨日をくり返してしまいます。だからこそ経営者はもう一度自らのミッションを思い出し、数多くの若者を世界に送り出して世界のレベルと日本の至らなさを学ばせなければならないと私は考えています。