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Weekly report

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 July Fifth week

 このところ毎週のように天候ネタが続きます。本当に異常気象であることを、こんな所からも感じさせられます。

 先日28日、台風12号が日本に到来しました。通常台風はグアム付近で発生し、アルファベットの「C」の時を描くように北西から北東に進路を変えていきます。その結果日本には、沖縄、九州、西日本、東日本の順で通過し、さまざまな爪痕を残します。ところが今回の台風は、強い太平洋高気圧のせいで北東から北西へ、極端に言うと日本までは北東の進路を取り、八丈島あたりで左折をして西進しました。最終的には南西に向かいましたから、これ前の台風と真逆のコースを描いたことになります。先日の豪雨の被害に遭った岡山や広島に再度の被害が心配されましたが、どうにか大きな災害を起こすことなく通り過ぎたのは良かったと思います。しかし想定外のルートをたどった台風によって、大きな被害も残りました。

 通常の台風は、南から北、西から東に向かいます。となると、基本的には日本の西側に波や風が打ち付けることになります。本土に上陸する台風は1年に10個程度であっても、昔から台風の方向が大きくは変わりませんから建物の西側や護岸の西側の作りは波風に備えて強く作られることになります。しかし東側から波風が訪れることはないため、建物や護岸の東側の作りは必ずしも強いとは限りません。今回東から西進した台風によって、私の住む伊豆半島の東側が大きな影響を受けてしまいました。

 被害が酷かったのは、小田原から熱海にかけてです。報道にもあったとおり、熱海にあるホテルニューアカオは、東側に向かったメインダイニングが高波を受けてガラスが破損し、大きな被害を受けることになりました。この建物は少し張り出した小島の入り江にあったようですが、海面から5m以上の高さにガラスがあったにもかかわらず入り江に打ち寄せた高波に耐えきれず破損したようです。その北側約1kmほど離れた熱海ビーチラインの入り口付近も高波により護岸が破損し、岸壁の一部が道路をふさいでしまいました。さらに波はリゾーピア熱海の駐車場にも流れ込み、十数台の車が水没したようです。またサーフィンで有名な湯河原の吉浜海岸では、真鶴道路(真鶴ブルーライン)下に構えた海の家が高波の被害を受けました。かき入れ時であるにもかかわらず10件ほどの海の家は全壊の様子であり、この夏の営業方法の見直しが必要になったようです。国道135号線の根府川付近も、護岸が10m以上あったにもかかわらず押し寄せる高波で十数台の車が押し流され、しばらく通行止めが続きました。実は熱川の海岸も大波に洗われ、海の家が全壊しホテルにも影響がでているようです。

 これらはすべて伊豆半島の東側で起きていることであり、これまでにこれほどの被害を受けたことがありません。逆にこれまでの台風で、伊豆半島の西側に大きな被害がでたこともあまりないのです。こう考えてみると、やはり東側は台風や大波に対する対応は不十分であることが解ります。

 となると非常に問題になるのが、地震です。伊豆半島に限っていえば、首都直下地震でしょう。しかし東側に影響があるとなると、東海、東南海、南海トラフの各地震がすべて問題となります。これらの地震は30年以内に50%以上の確率で起きるといわれています。東海地震に限っていうと88%の確率であり、きわめて高確率といわざるを得ません。さらに地震が発生した場合の津波の予想を見ると、伊豆下田で33m、伊東でも10mの津波が到達するといわれています。三重県の東に位置する志摩市でも33m、高知の室戸市で24m、土佐清水市で34m、宮崎県の宮崎市でに16mと、紀伊半島、四国、九州の東側に大きな津波が押し寄せる可能性があります。それらは西側に比べてやはり脆弱と思われますから、被害は甚大になるでしょう。

 30mの津波がくれば、いかなる対策を講じても被害を軽微にするのは無理かもしれません。しかし10mの津波であれば、平素の取り組みを変えることで現状より被害を軽微にすることは可能になるかもしれません。西側に比べた脆弱性が解った今、災害を発生確率のほぼない事象と考えることなく、一人でも多くの人命を救えるよう準備と改善を行いはじめるべきと私は考えます。

 今回の被害が完全に復旧するまで、この夏一杯かかる可能性はあります。二度とこういった事態が起きないような仕組みや仕掛け作りが求められています。