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Weekly report

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 September Second week

 先週は度重なる自然災害で、大きな被害が出てしまいました。

 まずは9月4日、日本に台風21号が到来しました。戦後最大級の予測通り、猛烈な風と雨を伴って日本に四国に上陸し、関西地方を通過して北海道沖に抜けていきました。関西では強い風と雨により建物や電柱に大きな被害が生まれ、広い範囲で停電と断水を発生させました。特に沿岸部では、高潮と強風の影響で大きな被害が出てしまいました。関西空港は飛行場、空港施設共に水没し国内外からの航空機を受け入れることができなくなりました。さらに空港に航空燃料を運んでいたタンカーが高潮に流され連絡橋に激突し、本土との行き来ができなくなりました。関西空港内では多くの乗客やスタッフが孤立し、神戸との連絡船が復旧するまで停電の施設内に足止めとなりました。現在は通行できる片側車線をつかってシャトルバスが通行できるようになりましたが、鉄道を含め全面復旧にはまだまだ時間がかかる模様です。

 それ以外にも神戸の海岸線ではコンテナや乗用車が流され、炎上する被害もありましたし、増水ではしや欄干が流される被害もあったようです。最強の風邪の影響は電柱に大きな被害をもたらし、広い範囲で電柱の倒壊をもたらしました。その本数が余りに多いため関西電力の対応が追いつかず、9日(日)の時点でもまだまだ広い範囲で停電が続いています。関西電気も必死の対応を続けていますが、全戸が被災前の状態に戻るためにはまだまだ時間がかかりそうです。

 台風は足早に北海道に抜けましたが、大量の雨を北海道にもたらしましました。その翌日の9月6日の午前3時頃、胆振東部を震源とする地震が発生し北海道全土に大きな影響をもたらしました。震源に近い厚真町では震度7を記録し、山間部で広い範囲に土砂崩れが発生し複数の家屋が崩れてきた土砂に巻き込まれ流されてしまいました。その結果多くの方が亡くなってしまいました。札幌でも土地の液状化が広範囲で起こり、道路の陥没や家屋の傾きが発生してしまったようです。これらの遠因は間違いなく大雨であり、台風と地震が重なったことでやはり大きな影響が生まれてしまいました。また北海道は火力発電所が緊急停止し、需給バランスが大幅に狂ったことから被害のなかった火力発電所も送電を取りやめたため、全土で停電が続きました。現在は水力発電や本土からの送電でどうにか供給をまかなっていますが、これまた完全復旧までにはかなりの時間を要するようです。

 今回の北海道の地震は、複数の災害が集中した場合の影響の大きさを学ばせてもらいました。また関西と北海道という二つのエリアで災害が起きた場合の、自衛隊やボランティアの困難さ、物資の配分などの難しさも良く解った気がします。

 こうなると、恐ろしいのはやはり太平洋沖で発生する東海地震や東南海地震です。二つの地震に関連性がないとはいえ、両方が短期間に起きる可能性もあるということが今回解りました。日本の経済は、太平洋側に大きく偏っています。特に本州の主要経済圏は、基本的に太平洋に面しています。となると、東海や南海の地震が短期間に発生すると日本の経済圏は崩壊し、支援体制も整わないことが予想されます。発電所にトラブルが生じれば本土全体の送電に影響がでることも間違いないでしょうし、これだけ多くの電柱があるので送電の問題が生じるだけでなく交通に対する影響も甚大になるでしょう。食料や飲料水に関する問題も大きいと思いますし、完全復旧どころか生存することすら難しい状況が長期にわたって発生する可能性も少なくありません。

 このような事態を防ぐことはできませんが、被害を少しでも小さくする努力は今からでも可能です。起きない災害に対して施策を講じるのは難しいとしても、被災時の被害を最少にする努力はできるはずです。デメリットが少なくないことは知っていますが、やはり電柱の撤去と送電の地中化はこういった災害の影響を極小化する意味で大切に思えます。もちろん同時に上下水道の再整備も行い、戦後日本の負の遺産になりつつあるライフラインの再整備を同時に行うことで、工事等の効率を高め住民生活のレベルを高めることも大切です。

 日本全国にこのような施策を講じるためには、莫大なコストがかかることは間違いありません。しかし災害によって失われる多くの命やそれによって結局は必要となる大きなコストを考えると、事前にそれらを行うほうが意味が大きいように思われます。いつ飛来するか解らないミサイルに対抗するために米国の言い値でミサイルシステムを購入するよりも、明日起きうる災害に対して積極的な対応を行うほうが、国民の税金の使い道としては正しいように思うのは私だけなのでしょうか。