いよいよ気温も下がり、晩秋から初冬の雰囲気が出てきました。北海道も積雪が観測されたようですし、いよいよ日本列島にも冬の気配が感じられるようになってきました。
さて先週米国の株価に大きな変化がありました。Apple社のiPhone不振から端を発したハイテク部品メーカーの業績悪化を発端に売りが続き、市場全体が大きく値を下げたようです。日本もその後一端は市場が活性化しましたが、現在は下げ基調に入っているようです。Apple社は数多くのハイテク部品メーカーから部品を調達しており、製品の販売台数と部品の売り上げが直結します。今回の株安はその関連メーカーの収益悪化が次々発表されたことから引き起こされており、今後も楽観的な観測は難しいようです。その反面Apple社の日本法人は高収益を達成したようですから、Apple社の日本依存が高いことが解ります。いずれにせよ、Apple社の今後は決して明るいわけではないことが解りますし、徐々に訪れる危機にどう立ち向かっていくかが興味のあるところです。
以前もお話ししたとおり、私の近所にシコー技研という会社がありました。大和市と相模原市の境の森の中のプレハブの建物に入った会社でしたが、インテルのアンディ・グローブ氏が訪問しCPUクーラーの製造を依頼したという有名な会社でした。その後シコーは上場し、Apple社のために中国の工場も建設しました。しかしApple社は突然手のひらを返して部品の調達を行わなくなったため、あっという間に破産したことがあります。その後ミネベアが再建に取り組むと言われましたが、結果は中国に売却されてしまったようです。
この事件で解るように、Appleは一つの会社に部品を発注する傾向がありますし、その調達はかなり一方的なやり方をしているケースが多いようです。受注に対応出来るよう工場を作ったりラインを作ったとしても、突然発注部品数量が大幅に削減されたり中止されたりと、ハイテク部品メーカーにとってはリスクの高い企業のようです。このところこのページでも申し上げているとおり、iPhone、iPadの今後の状況が芳しくないためこういったリスクはより拡大しているように思いますし、それが米国経済にも影響させてしまう怖さを感じざるをえません。米国大統領が強引に進めている「Made
In USA」政策の影響もあるでしょうが、今後こういった問題で世界経済が不安定になる可能性も極めて高いように思います。
GAFAのうち、唯一Apple社だけが製品を製造する機能を持っています。AmazonもKindleの製造を子会社で行っているようですが、ビジネス全体に与える影響は小さいといえます。OSもAndoroidの改造版ですから、大きな負荷は少ないでしょう。この状況はGAFAではないですがMicrosoftも同様でしょうし、Apple社のようなビジネスモデルを持っている会社はありません。だからこそApple社の製品の売れ行きは、世界の経済をも動かしてしまう結果となっています。
こういったメーカーが今後発生する可能性はあるかといえば、私には解りません。自動走行を行う自動車がそういう側面を持っている可能性はありますが、期間の部品は汎用性の高い物を使うでしょうからApple社ほどの影響を生むとは思えません。ロボットの普及によってそういった問題が発生するかもしれませんが、今の時点では判断が付けにくいように思います。自社独特の専門性の高い部品を使えば使うほどユニークな製品の開発が可能になるのでしょうが、それはビジネスにとって大きなリスクとなり得ることを今回の件から我々は学ばざるを得ないように私には思えます。
このように今回の件は、Apple社という特殊な環境で発生した事象が世界に影響を与えた例として学ばれるべきと考えますし、今後の新しいテクノロジーを使ったビジネスに対して、一つの大きな警鐘をならしたように私には思えます。