いよいよ12月も二週目です。先週は天候が不順であり、20度を超えた火曜日に対して木曜日は10度と、初秋と冬を行き来しています。引いた風邪はなかなか治りませんし、本当に体に堪える毎日です。
さて先週の世界に続き、今週は国内についての反省ですが、そのまえに先週は大きな出来事がありました。
6日の午後のこと、ソフトバンクの携帯網が大規模な通信障害を起こしました。全国のソフトバンクユーザのスマートフォンが繋がりにくくなり、さまざまな分野で業務や生活に支障を与えることになりました。ソフトバンクは日本のキャリアの1/4のシェアを握っていますから、国民四人に一人が影響を受けたことになります。もちろん利用する側だけでなく他キャリアからソフトバンクユーザに通話しようとしても同様の事態となりますから、その影響はもっと大きいといえるのかもしれません。障害の原因はエリクソン製の交換機のソフトウェア異常のようであり、同機種を利用した世界中のキャリアで通信障害が発生したようです。交換機のソフトウェアを前バージョンに戻したことから午後6時頃には障害は回復し、通話が可能になりました。
今回は平日の日中ということで、多くの人々に影響を与えたようです。特に仕事でスマホを利用している方にとっては、客先やオフィスの連絡が途絶し大きな支障を与えたと思いますし、ビジネス的、経済的に大きな損失が発生したように思います。現代人にとって、外出先で電話、メール、Webを一切使えないというのは社会からの途絶を意味しますから、仕事、生活のあらゆる側面で死活問題となったように思います。
高度なIT社会は便利な社会を創出・維持してくれますが、今回のような脆弱性ももたらします。高い精度で密に張り巡らされたネットワークは、一端遮断されると多くの影響が生まれます。今回用になにもない平時でもこれだけの影響があったのですから、自然災害などで同様の事態が起きたときの恐ろしさは想像を絶する物かもしれません。こういったリスクを正しくコントロールするために提供する企業の慎重な配慮が期待されますが、人間の行うことですから常に限界があるのも事実です。
となると、世の中の重要インフラであるからこそ、こういった事態に対してもう少し積極的な対策が講じられないのかと思います。鉄道の場合、JRや私鉄が何らかの事由で停止してしまった場合、付近の路線への振替輸送が行われます。付近の路線がすべて混雑するという弊害はありますが、その路線に関わるすべての人々が完全に取り残されるよりましといえます。となればこういった通信キャリアも、振替通話をできるようにできないのか、というのが私の考えです。2020年頃までは、多くのキャリアで3G回線が使われています。4G回線に何らかの事由で繋がらない場合、3G回線に自動的に帯域を切り替える機能がそれぞれのスマホには搭載されています。となるとこういった大規模なネットワーク障害時には、簡単な切り替えコードさえ入力すれば他社の3G回線を利用できるようにできないのか、というのが私の考えです。3G回線が終わってもLTE回線がのこるでしょうから、完全に速度的に互換性はなくても遅くても繋がることを考えるのが望ましいように思います。そうすれば障害があっても完全に通信が途絶することを防げますし、各社がシックスシグマの取り組みをしなくても相互の冗長性で対応出来るように私には思えます。
このように、ちょっとしたアイディアで今回のような大きな問題の影響を少しでも軽減することはできるはずです。規制を強化するのが行政の役割ではないはずですので、今回を試金石として行政が動き出すことを私は期待したいと思っています。
さて国内の振り返りですが、今年は例年以上に、自然災害の多い年でした。6月には大阪の北部でマグニチュード6の地震が発生し、5名の死者が出てしまいました。同じく6月末には、西日本を中心に梅雨を起因とした豪雨が発生し、200名以上の方がお亡くなりになりました。
7月には台風13号が日本に上陸しました。この台風は通常の沖縄方面から北海道に抜けるという北東の進路を取らず、太平洋を北上した西に進路を変更し伊豆半島に上陸しました。その後通常とは逆の南西に向かって進み、九州鹿児島を抜けた後太平洋上で一回転して大陸に抜けていくという今までありえないまったく逆の方向に進む台風となりました。上陸地点となった伊豆半島では、国道135号線と熱海ビーチラインに高波が押し寄せ一部の道路を押し流してしまいました。夏休み前の東伊豆は大打撃となり、大幅な観光客源になりました。夏の終わりに道路は復旧しましたが、東から訪れる波には対応出来ないことを露呈した事件でした。
9月には再び台風21号が大きな被害を残しました。猛烈な勢いを保ったまま関西に上陸した台風21号ですが、強風と豪雨を西日本と北海道の各地にもたらしました。高潮によって関西空港なども水没し、風にあおられたタンカーが本州と関西空港をつなぐ連絡橋に衝突し、利用客が空港内に閉じ込められました。関西空港は連絡橋とフェリー以外にアクセス方法がありませんし、連絡橋は車と電車の両方が通るため、復旧までの期間利用客を大幅に制限せざるを得ない事態となりました。
その直後には北海道で大きな地震が発生し、40名以上の方が亡くなりました。またこの地震を原因とする大規模な停電により、復旧作業にも大きな影響を与えました。一部の発電所が被災し停止したことが原因ですが、全道に給電するためのバランスが狂ったことからすべての発電所が連鎖的に停止してしまったのが原因ですが、こういった事態が他の場所でも起きるのではないかと思わされる事態でした。
このように今年の国内は、例年にも増して自然災害が多かったように思います。阪神大震災以来、大規模な地震は全国どこでも起きることが解ってきましたし、東日本大震災で津波の怖さも再認識されたように思います。だからこそ地震に対して我々はきちんとした備えをする必要があることを、今年も再認識させられました。同時にそれは、地球温暖化によってより強力になる台風や豪雨などの災害に対する備えにもなります。社会やビジネスの世界だけでなく自然環境も大きな変化を向かえている今日、これまでの常識的な対応は用をなさなくなっています。だからこそこの変化をきちんととらえ、今日の状況にあった備えをすることが大切であることを今年は本当に強く感じることになりました。
来週はいよいよ今年のビジネスを俯瞰しようと思っていますが、週末から群馬と九州に出張のため、更新が遅れますことをお詫びいたします。