いよいよ12月も第三週です。今年も、残すところあと二週間になりました。
さて今年のビジネスの状況ですが、いろいろなことがありました。
今年顕著だったのは、仮想通貨でしょう。昨年末に最高値を付けたビットコインを始め、様々な仮想通貨が流通しました。さまざまな仮想通貨が誕生し、その都度一攫千金を狙ったにわか投機家も増えました。しかし一月末にはコインチェックのNEMがクラッキングにアイシステムが不正に操作され、580億円という巨額の資金が流出しました。さまざまな角度から操作が行われましたが結局犯人は特定できず、すべての資金が他の仮想通貨に換金されてしまったようです。
このようにバブルのごとく盛り上がった仮想通貨ですが、年末にはすっかり相場も冷えてしまいました。仮想通貨の活性化を見越してマイナー(採掘者)としてサーバを立てた企業や個人が世界中で生まれましたが、これだけ相場が冷えると採掘コストが相場を割ってしまい離脱するしかない状況も生まれ始めているようです。
仮想通貨は世界の情勢を変えましたが、まだまだ様々な観点で未熟です。世界的に仮想通貨が普及していくことは間違いありませんが、その過程でクリアしなければならない問題も沢山あります。仮想通貨の健全な発達は社会をよりよく変える可能性はありますから、今後の進歩を見守りたいところです。
さて今年は、全国の百貨店の閉店ニュースが飛び交った一年でもありました。兵庫県のヤマトヤシキを皮切りに、地方の百貨店のみならず九州の井筒屋、三越、伊勢丹が次々と非採算店の閉店を発表しました。いよいよ百貨店というビジネスモデルが終焉を迎えたというのも今年の特徴なのかもしれません。
ネットビジネスの隆盛とともに、世界中のあらゆる商品が手に入るようになりました。百貨店のように世界中のブランドを集めた場所に行かなくても、好みのブランドの商品を、場合によっては日本で売っていない商品まで手に入れられるのがネットの世界です。ネットの隆盛とともに小売店が影響を受けてきましたが、百貨店のような大規模な店舗も影響を避けることはできなくなりました。もともとパワーストアの出現で、百貨店というテナントビジネスそのものが衰退しました。中食といわれる総菜ビジネスに活路を見いだした時期もありましたが、やはりそれだけでビジネスを維持することができなかったのでしょう。Amazonの隆盛の影で、こうやって戦前から続く一つのビジネスモデルが終焉を迎えたことは惜別の情が残りますが、これが第四次産業革命における仕事の一増二減を意味する事象と考えると、ある意味納得がいきます。
さて今年最後の出来事は、やはりカルロス・ゴーン氏の逮捕でしょう。現時点でもその詳細が明らかになっていませんが、私的な費用を日産に肩代わりさせたことは間違いないようです。しかしその裏になるフランスによるルノー、日産、三菱の三社支配の試みは確かにあるようであり、この先の展開が興味深いところです。このところのフランスは、マクロン大統領の社会負担増やガソリン税等に対する反発からデモが頻繁に起きています。一部のデモは暴徒となり、破壊や略奪行為にも発展しているようです。これもすべてマクロン大統領の政策に対する反発から起きていますから、今後のルノーの動きも気になるところです。
もちろん今回の件で日産のビジネス速度が変わることは間違いないでしょう。このところ開発する新車の評判が良く業績も向上していましたが、経営事態が安定するまでにしばらく時間を要するでしょうから様々なプロジェクトに影響ができることは間違いありません。自走自動車開発にとって重要なこの時期の停滞が今後どのようにビジネスに影響していくかは解りませんが、日産と三菱両者の動きも非常に気になるところです。
このように2018年は、新旧のビジネスモデルに大きな変化が訪れたともいえますし、この変化は来年に向けてさらなる激化が予想されます。この大きな時代の胎動の中で、全く新しいビジネスモデルを誰が、どの企業が創り出すかがとても楽しみです。そしてそれが世界を豊かにしてくれることを心から願いたいですし、そのモデルがMade
in Japanであることを個人的には大きく期待しています。