新元号が決まりました。元号は「令和」。昭和と似た響きは昭和生まれのおじさんにはなじみのある音ですが、西暦との対応はなかなか覚えられないのでしょうね。
しかし発表から一ヶ月の期間で、さまざまなシステムの元号変更作業が行われます。平成の教訓からパラメータ方式に変更されているシステムが多いとは思いますが、それでも帳票等を中心にリテラルで平成が埋め込まれている可能性もありますし、条件判断でS(昭和)
or
H(平成)といった文字が使われている可能性もありますし、西暦和暦変換の結果をつかった処理もあります。となると、こういった処理の変更漏れが5月以降の日時、月次、決算処理で問題を生じる可能性もあるでしょう。
さらに今年は10月1日より消費税の変更もあります。食品業界では8%と10%の複数税制に対応しなければならないため、来年の決算処理を慎重に行う必要があります。これに元号問題も絡むとなると、決算時に相当なトラブルを想定しなければなりませんし、決算報告に間に合わない事態も考えられます。
今回の元号変更は、予定の作業です。それでもこういったリスクがあるのが、システムの世界です。トラブルが起きないように十分なチェックや対応を行いますが、それでも大規模なシステム、とくに作成年月の古いシステムほどそういったリスクが残ります。平成の改元は30年前ですから、そのときに活躍したSEは定年した、あるいは定年間近な方が多いでしょうから、潜在する問題を発見できるSEは各現場ともそう多くはないでしょう。
毎年定期的に起きるシステム変更の経験を持つSEは、さまざまな現場に沢山います。しかし今回のように長期間起きないシステム変更は、システムに大きな影響を与えます。改元の経験を持たないSEはこういった元号の問題をしりませんし、だからこそプログラムの中にそういった処理を加えてしまいます。これは消費税も同様であり、経験者は意識できても、未経験者はそのような事態が起きることは想定していませんから、変更されることを前提としないシステム開発を行ってしまいます。
この先世の中は大きく変わることが予想されますし、それにともなってシステムの変更も幾何級数的に増えていくでしょう。だからこそこういった問題が起きないシステム開発標準の徹底が重要となりますし、定期的な検査も大切となります。
生活に深く関わる情報システムには、こういった問題の発生が常に予想されます。だからこそ我々は問題が起きないようなシステムづくりを心掛けていかなければなりません。