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 April Third week

 四月も三回目のWeekly Reportです。

 先週から新人研修が本格化しており、一週間頑張っただけで歩けないほど疲れてしまいました。毎年新人研修は疲れますが、年齢のせいか今年は特にキツイと思いました。

 さてそんなこんなで今年はいろいろな場所に新人研修で赴いていますが、気になる風景が目に入ってくるようになりました。実際は今に始まったことではないのですが、各線の駅構内外に、小規模なコンビニが増えているのです。

 かつては鉄道会社が構内外にキオスクを設け、通勤通学客の需要を満たしていました。その品揃えは多種多様であり、新聞や雑誌はもちろんのこと飴やガムなどの菓子類、ジュースやビールなどの飲み物、シェーバーやネクタイやハンカチ、そして切手や香典袋まで売っているのがキオスクの特徴でした。コンビニが少なかった時代の名店ともいえますし、その存在に助けられた方も多かったように思います。そこに勤める女性職員は名人が多く、電車の乗降客の合間に即時に商品を補充し、数品の商品を生産するのにも1〜2秒ですむという職人技を見せていました。

 しかし時代とともに駅付近にコンビニが普及し、その存在価値が徐々に薄れていきます。多種多様といっても一坪ほどの店舗で置ける商品は限られますし、販売量が伸びなければ在庫負担も徐々に重くなるのでしょう。働く方も高齢化が進み、若い人だと目視の計算ができないなど、その技術を維持することが難しくなった側面もあるのかもしれません。結果として鉄道事業の中で非採算の事業となり、どこの鉄道会社も撤退のタイミングと方法を伺っていたように思います。

 そのすき間に進出したのがコンビニです。従来のロードサイドや商店街と違い、その店舗の面積は限られていますが、それでも一坪のキオスクよりははるかに多くの種類の商品を並べることができます。また忙しくなったビジネスパーソンの需要も変化し、朝食や軽食などの比率も高まったせいで、コンビニのほうが充実した品揃えができます。コンビニの特性を活かし、売れる商品だけを並べて人気とともに入れ替えも起きますから、それぞれの店舗の採算も非常に高くなるでしょう。オペレーションはポスレジですから、それほど難しくもありません。このような理由で、多くの鉄道会社が自らのキオスク事業を精算し、各社のコンビニを導入しているように思います。

 私の近所は小田急と東急が走っていますが、小田急はこの春から各駅のキオスクをセブンイレブンに入れ替えているようです。小田急自らがセブンイレブンのフランチャイズになり、セブンイレブンのオペレーションで商品の調達と販売を行っているようなのです。この動きは他の私鉄やJRでも見られ、新宿駅もJR西口構外にセブンイレブンができていました。

 その沿線のコンビニエンスストアの売れ行きを見ると、駅での品揃え傾向も正確に行える可能性がありますし、駅だけに展開する店舗より、その付近の住宅街に数百倍はあるコンビニエンスストアの販売データのほうがより正確であることは間違いありません。こうして鉄道各社独自のキオスク文化は廃れていき、コンビニエンスストア中心の店舗にすべて変わってしまうことは間違いないように思います。

 こうやってコンビニエンスストアは、過飽和した構外から新たな市場を見つけたように思います。同時に駅構内外のコンビニエンスストアは深夜は閉店していますから、逆にそこから日中だけの店舗の品揃えをノウハウを得ることができるようになる可能性があります。これは現在問題となっている郊外のコンビニエンスストアの24時間化短縮にとってメリットのある情報となりますし、こうして双方がより具体的なデータに基づいてよりよい品揃えを行っていく可能性があります。

 このようにリアルのビジネスも、時代とともにさらなる変貌を始めています。しかしそこには様々な企業の思惑と戦略が複雑に絡んでおり、その複雑なアイディアをより精度を高く迅速に行った企業が、次の時代の勝者になることは間違いありません。