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Weekly report

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 April Fourth week

 ゴールデンウィーク前の、Weekly Reportです。

 先日イスラエルの研究グループが、3Dプリンターによる心臓の作成に成功しました。人の心臓細胞を使い、2cm四方ぐらいのサイズの心臓を3Dプリンターで作成したのです。これまでも心臓細胞を使った3Dプリンターでの心臓作成は成功していましたが、今回は心室や心房をきちんと備えた上、血管も配置されているようです。現状はまだ毛細血管など細い血管は作成できませんが、技術の進歩とともに人間の心臓と同じサイズで必要な血管が配置された心臓を作成することが可能になると思いますし、やがては免疫の問題さえ起きない自分の細胞を使った自家心臓移植が可能になります。拡張型心筋症などの遺伝的問題を抱えて心臓移植を待っている方は世界中にいますから、一日も早い実現が望まれます。

 さらにここまで技術が進むと、心臓の一部を作成することも可能になるかもしれません。人間と同じように機能する心臓全体を作り上げるまでには今後も多大な時間がかかるでしょうが、一部だけだとすると意外と早く作成が可能になると思います。私の友人も今月手術をするようですが、僧帽弁の異常をもつ方は少なくありません。これまでは人工弁に置換する手術が数多く行われてきたようですが、人工弁を付けると一生免疫抑制剤を飲む必要がありますし、人工弁そのものも10年毎ぐらいのタイミングで取り替えが必要なようです。これは患者の肉体的、経済的な負担が大きいですから、こういった技術で自分の細胞で僧帽弁が作れることは非常に望ましいことといえます。

 さらに日本では、他人のiPS細胞を使った網膜移植に成功したようです。黄斑変性などの網膜の疾患では、最終的に網膜移植しか回復の方法がありません。自己細胞による網膜作成のためには数千万円という大きな金額がかかるため、現在の医療状況では難しいといえるでしょう。ところが他人のiPS細胞を使った網膜が使えるとなると、一人の網膜細胞を培養して数千人分の網膜を生産することが可能になりますから、一つあたりの単価が劇的に下がります。となれば、今回のように他人の網膜でも利用可能であれば脳死を待つことなく網膜移植を行うことができますから、黄斑変性のような病を負った方には非常に素晴らしいことといえます。

 このようにテクノロジーの進化により、さまざまな疾患が克服できる可能性が生まれています。細胞を増殖して人工臓器を作れる可能性は、年々上がっています。人工腎臓はラット内での実験に入りましたし、軟骨、硬骨などのはセラミックやチタンで代替できるようになってきていまし、今後は脳以外のさまざまな臓器の再生や作成が実験されていくでしょう。腎臓などは一端機能が弱まると移植か人工透析しか回復の方法がなくなりますから、こういったテクノロジーによって機能する腎臓を自分の細胞で作成できるようになれば、人工透析から解放され生活の質が向上するだけでなく、寿命そのものが劇的に伸びる可能性が高まります。

 さらに人工臓器は、こういった生体細胞を利用した物だけではありません。ペースメーカーのように小型のデバイスによって、やはり病気を改善することが可能になります。体内に格納できるカセット式のインシュリンの投与器があれば、糖尿病の注射を行わなくて済むようになります。血圧やさまざまな血液成分をコントロールするカセット式小型の投与器があれば、さまざまな病気の薬の飲み忘れと病状に合わせた薬剤の投与が可能になります。

 こうやって医学分野のテクノロジーの進歩は、人間の回復力を高め人生の質を上げる可能性を高めます。そこにはさまざまな情報技術が利用されており、それらが医学の進歩に貢献していることは間違いありません。こうして我々ITエンジニアの使命は年々高まっており、我々は高い志を持って職務に取り組む必要があるのです。情報技術は世界をよくすることは間違いありませんし、これまで人間が考えつかなかったことさえ可能にしていきます。そこには高い使命感と倫理観が必要となりますし、世界中のITエンジニアがこの志を持って人類の未来に向けて努力することは本当に素晴らしい事と思います。

 一人でも多くの若者がこの世界に入り、一つでも多くの新しい可能性を切り開けば未来は明るいといえます。逆に今の世界だけを眺めて、日々の雑事をこなしていては明るい未来は開けません。今年の新人を含め多くの若者がこの使命に気付き、豊かな創造力を持って未来を切り開いてもらいたいと心から願っています。