先週Apple社が、今後の各機種のOSがどのように進化していくかを発表しました。それによると、いよいよiPhoneとiPadが別OSとして進化していくことが明らかになったようです。
これまでiPhoneとiPadは、基本的に同じOS上で同じアプリケーションソフトウェアが起動するようになっていました。それぞれに最適化されたソフトウェアももちろん存在しますが、先発のiPhone向けに開発されたソフトウェアでも画面は小さくなるもののiPadでも動くことが多かったと思います。逆に両者のOSが共通のために、iPadはiPhone異常の操作性を持たせることが難しく、タブレットPCとしての機能を十分に発揮できてはいませんでした。
ところが今回の進化により、iPadはmacOSに近づいていくことが明らかになりました。まずはiPad向けアプリケーションをmac上で起動するようにしていくようになるようですが、やがてはmacOS上で動くアプリケーションソフトウェアも開発されていくようです。これによりiPadは劇的に機能を高めていくでしょうし、大型のスマートフォンではなく本来のタブレットPCとしての進化が始まるのかもしれません。
今回のiPadOSでは、マルチウィンドウの対応も明確になりましたので、これまで以上にiPadが使いやすくなるようです。現在は画面の切り替えもすべての起動しているアプリケーションシステムを表示する必要がありましたし、一つのソフトウェアで複数の画面を開くことも困難でした。それが今回の変更で改善されますので、PCライクな操作が可能になりそうです。
iPadユーザである私にとって非常に有り難い変更ですが、macユーザは今回の変更をどう取られているかはわかりません。今回の進化が意味することは私にはmacbookとの統合に思えますし、それはノートPCなどの衰退を意味するように思えるのです。
タブレットPCに比べたノートPCの優位性は、CPUの性能の高さとバッテリーの持ち時間、ならびにストレージの容量の多さでした。しかし最新のiPadは最大1Tのストレージ容量がありますから、ノートPCとの差は無くなったといえます。またCPUの性能の高さとバッテリーの持ち時間は反比例しますが、テクノロジーの進歩とともに両者の問題も解決するように思えます。現在使っているiPadが極端に遅いと思ったことはありませんし、仕事で1日使う分には特にバッテリーの問題も感じません。
さらにこれだけネットワークが発達すると、すべてのアプリケーションソフトウェアやデータを機器のストレージに置かなくても処理が可能になりますから、ノートPCのような高性能でなくてもタブレットPCで仕事をすることは可能になるでしょう。タブレットPCには外付けのキーボードは沢山販売されていますから、キーボードの問題もありません。マウスも使おうと思えば使えますし、その点もノートPCと同様です。iPadは唯一SDメモリーなどの外部デバイスとのやりとりが難しいという欠点がありましたが、今回の進化でその問題も解決される予定です。
と考えると、携帯性が高く操作性の良いタブレットPCが、ノートPCの衰退に繋がるということも想像に難くありません。ノートPCはデスクトップPCを携帯できるように設計されているため、基本的にはデスクトップPCの操作性を引き継いでいます。しかし操作性という観点ではもともとスマートフォンのほうが直視的・直感的な操作に向いていますから、それと同じOSをもつタブレットPCのほうが優位性が高いのは当然のことのように思えます。
今回のApple社の判断が、どのような観点で行われたかはわかりません。しかし私には、デスクトップPCを含めたPC時代の終わりの始まりのように思えるのです。私の予想ではスマートフォンやタブレットPCもなくなることが当然と思っていますので、その過程でデスクトップPCやノートPCがなくなることはさらに当然のことのように思えます。ただそれがどのようなタイミングで、どのようなきっかけから始まるかは解りませんでした。しかし今回のApple社の動きを見ると、自らPC時代に終わりを告げようとする姿勢が見え隠れします。既存のアーキテクチャをイノベーションし、徐々に携帯型のデバイスを中心にシフトしさまざまなマルチメディアサービスを提供する、その一歩が今回の進化のように私には思えてなりません。