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Weekly report

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 August First week

 いよいよ8月に入りました。遅かった梅雨明けも迎え、酷暑の日々が続きます。 今週末は海潜亭に11名ものお客様がご来訪したため、このページの更新が遅れてしまいました。

 さて先週アルバイト情報誌の草分けであるan(旧アルバイトニュース)の終了が発表されました。創刊から52年で、多くの学生やフリーターにアルバイトを提供したこのメディアが終焉を迎えるようです。雑誌というメディアが現在の状況に合わなくなったこと、ならびにアルバイトを行う若者の指向性が変わったことが原因と言われますが、一つの時代が終わったことに感慨もひとしおです。

 私が若い頃も層ですが、アルバイト先を探すためには実際の店舗や工場でアルバイト募集の掲示を見ることが基本でした。したがってアルバイト先はどうしても自分の生活圏内や通学圏内になることが一般的でした。しかしアルバイトニュースという雑誌は、近隣の都道府県全体のアルバイト先が掲示されていますから、自分の好む場所で好みの仕事を探すことが可能にしました。さらにバイトの条件や待遇、業務内容も明確になり、積極的な応募が可能になりました。店側はアルバイトニュースに出稿する費用はかかるものの多くの学生やフリーターの目に触れることからアルバイトの確保が容易になりましたし、採用条件を明確にすることで待遇に関するトラブルも減ったように思います。

 かつてこの手のアルバイト募集雑誌は、すべて有料でした。しかし雑誌そのものの単価が安いため、雑誌が売れても出版社はほとんど儲からないそうです。そのためバブルの時期は、とても変わったビジネスモデルになっていました。つまり景気がよくなるとより待遇のよい店舗等にアルバイト応募者が集中するため、どうしても普通のアルバイトが集まりにくくなります。となるとこういった雑誌への出稿依頼が非常に増え、多くの出稿料が集まります。反面アルバイトを探す人間は少ないので、雑誌は売れず部数は非常に少なくなります。売れなければ印刷部数は少なくて済みますし、返品もなくなるためコストが極限まで下がります。となると出版社側は、雑誌が売れないほど非常に儲かるという変わった収益構造になります。

 逆にアルバイト募集が減ると、多くのアルバイト応募者は雑誌を購入します。しかし募集は減っているので、店舗側の出稿料が集まりません。逆に応募者は雑誌を購入しますので部数を多く印刷しなければなりません。となると印刷・運送コストが高まり、相対的に返品も多くなります。雑誌がいくら売れてもコストのほうが高いので出版社は赤字になってしまう、という妙な現象がおきていたようです。

 このような状況を変えるために、出版社はしだいに雑誌を無料化していきます。無料ですから有料より多くの応募者が手に取る可能性が高まりますし、返品の処理も不要になります。書店の手数料も不要ですから、印刷と運搬コスト以外かからなくなります。逆に発行部数がふえて出稿量も相対的に増える可能性があるので、無料誌にした方が出版社がもうかるようになるのです。

 しかし時代が変わり、ネットを通じてアルバイトを探すことが可能になりました。いくら無料であってもネット上の情報のほうが早くて詳細です。さらにクチコミ等の実際の経験者の声も負荷できますから、アルバイト応募者としても情報の信頼性がたかまります。こういった流れが近年より強くなり、結果として今回のような雑誌の廃刊が決まっていくのでしょう。

 このように時代の変化は、さまざまなビジネスやメディアに影響をあたえていきます。こういった時代の変化を他人事として嘆息するのではなく、新しいビジネスのチャンスととらえるマインドセットが、これからのビジネスパーソンには求められているように思います。