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Weekly report

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 August Second week

 梅雨が明けてからすっかり酷暑が続きますが、今週は盆休み週間に入りました。今年は最長9連休という方が多いため道路の渋滞や帰省の足の混雑は分散されたように効きますが、それでも各地に涼を求める家族連れが日本中を移動しているようです。今週は私も休めると思っていたのですが、盆休みを狙ったような研修もあり台風の心配をしながら都内に通う必要があるようです。9月は少し暇が出来るので、それまでは修行僧のように心を落ち着けて仕事の毎日です。

 さて世間は夏休みですが、デルタ航空は成田からの撤退を発表しました。先日羽田空港は、都内上空を飛ぶ航路を新設したばかりですが、東京オリンピックに向けて地の利のある羽田が世界の航空会社にとって魅力的であることを再度思い知らされます。東京から電車で一時間の成田空港は、やはり世界からの玄関口としては遠かったようであり、結果的に関東に二つの国際空港が分散してしまったことはアジアのハブ空港の機能を果たすことはできなかったようです。

 もともと成田空港は、当時の技術では羽田空港の拡張が難しかったため、代替の空港として開発されています。しかし拙速な決定と強引な土地の接収と工事着工で地元と闘争になり、長らく国際空港として全面的かつ安定的な運用提供を阻まれていました。そのため長く一本だけの滑走路で運用してきましたが、闘争の終結とともに二本の滑走路が整備されその発着数を増やしてきました。横風用に検討されていた三本目の滑走路は技術の発達ともに不要になり、現在では新たな三本目の滑走路を計画中です。とはいえ一方の羽田空港は滑走路の拡大とターミナルの新設により国際線を積極的に運用できるようにしてきましたし、全体的には成田以上の発着数を誇っていますので、LCCなどの格安航空会社は成田を、ビジネスに利用されるプライムの航空会社は羽田を利用していくことになるのでしょう。

 しかし技術の発達は素晴らしいもので、当時拡張不能だった羽田空港を再度主要な国際空港として生まれ変わらせましたし、成田の滑走路のあり方も変えてしまいました。こういう変化を予測できなかったのは当然としても、ある程度それが判明した時点で空港政策のあり方をもう一度考えておけば、現在のような関東の空港二重化は防げたように思います。ビジネスはもちろん観光の観点でも、都心までのアクセスが近い羽田空港のほうが利便性が高いのは誰にでも理解出来ますし、中部国際空港や関西国際空港など海上空港の技術が確立した瞬間に羽田を中心とした航空行政を整えるべきだったと私は考えます。逆にごり押しで作ってしまった成田空港を、メンツのためどうしても維持しなければならないと官僚が考えたとしか現状の状況は説明できません。

 いずれにせよ来年の東京オリンピックに向かって、世界の玄関口の整備は必須です。選手や関係者は基本的に羽田空港を利用し、それ以外の観光客は成田空港や中部、関西国際空港へ誘導していくしかないのでしょう。オリンピック終了後はLCCとの棲み分けを行い、利便性は悪いが価格の安い成田空港、利便性の高さと価格が比例する羽田空港という形になっていくのかもしれません。

 しかしアジアのハブ空港としての機能をチャンギ空港や仁川空港に譲ってしまうと、長期的には世界から二本へのアクセスが不便になり、ビジネスや観光の面で大きな支障が発生することは間違いありません。現在二つに分かれてしまった国際空港を一本化する、あるいは思い切って中部国際空港などを大幅に増強して二本のハブ空港化を図るなど、抜本的な航空行政を展開することが求められている気がします。

 技術の革新は、古き時代の計画を大きく変えてしまいます。逆に計画に執着すると、世界が求める最新の姿を実現できません。日本の官僚は前例主義とセクショナリズムを見直し、真に世界に通用する日本を模索しなければなりません。一旦決めたことを踏襲するのではなく、時代を考えて前例を見直し、常に日本が良くなることを前提に施策を実行する官僚とそのリーダを、日本は本格的に必要としています。