先週の続きとなりますが、台風19号が去った後、東日本の被害状況が徐々に明らかになってきました。決壊した堤防からの洪水で多くの家屋が浸水する被害が生じましたし、農作物に甚大な被害も生じたことが明らかになりました。東日本の主力産品が農産物ですから、今回の被害額は総合なものになりそうです。政府は今回の災害を激甚災害にしていするようであり、被害に遭った方々の負担が少しでも軽くなることを願っています。(結果として消費税施行のために、台風15号で甚大な被害を受けられた千葉県の方々が見捨てられたことは本当に心苦しい限りですが。)
今回の台風は、死者だけで64名となってしまいました。まだ行方不明者も10名以上いますし、瓦礫や土砂等の片付けの後に、新たに発見される方もいらっしゃるかもしれません。一日も早い復旧・復興を願っていますが、実際に被害の影響が解決するまでに多大な時間がかかりそうです。 河川の決壊箇所の埋め戻りは順調に進んでいますが、その後の雨で地盤が緩んでおり、19号までとはいわずとも大雨によって再決壊する可能性もあるようです。箱根登山鉄道など甚大な被害を受けた交通機関は、年内の不通を発表しています。国道20号線は18日に、中央高速は19日に開通し、孤立していた山梨県の物流もようやく復旧しそうですが、県内の混乱が落ち着くまでにはまだまだ時間がかかりそうです。
被災された住居には全国からボランディアが訪れていますが、それでも専門の業者不足や資材の不足で、生活を取り戻すまでには時間がかかりそうです。これからどんどん寒くなりますし、東北に近いほど寒さの影響は大きいでしょう。まずは雨風が防げる程度に家屋の復旧工事が必要となりますが、業者の不足は当面解消されそうもありません。また被災ゴミも各地で膨大に発生しており、その処分どころか置き場所や輸送手段もも不足しているようです。すべてのゴミが家屋の近隣からかたづけられ、普段の生活を取り戻すためには年内は確実にかかってしまうでしょう。インフルエンザや風邪の季節ですから、衛生環境の悪化が住民に与える影響も心配されます。
来年以降もこれ以上の台風が来襲することは、間違いありません。先週も申し上げましたが、日本全国で起きる事態だからこそ、国が率先してより高度な対策システムを完成させるべきでしょう。基本的には、
@河川のシミュレーションをくり返し、氾濫危険区域と要護岸工事箇所を特定する
A斜地に隣接する道路を特定し、防壁工事を行う
Bカメラやセンサーを設置し、危険箇所の情報を確実に収集する
C避難場所の確保と連絡網の充実を図る。できれば住民に防水GPSを渡し、場所を特定する
D全国で消防や自衛隊を中心に災害対策チームをつくり、最新機材を必要な箇所に運べるようにする
E非常用品も同様に準備し、効率よく被災地に提供出来る仕組みを作る
F万が一の仮設住宅候補地や被災ゴミ収集地を決定する
G復旧工事に関わる業者を選定し、自治体を経由して適正な料金で依頼できるようにする
H全国でネットワークを構築し、復旧工事業者が被災地で工事が行いやすくするための仕組みを作る
I災害対策税をつくり、法人に負担させる。ただし同規模以上の支援を行う場合は減免する
このぐらいのことを考えるのは誰でもできますし、一部は始まっています。しかし「予測よりまずまずに収まった」などと寝ぼけたことをいう幹事長有する政権に、これらを本気に行う気持ちがあるとは思えません。消費税の施行のためには千葉県を見捨てたり、被災地を訪問しても住民に対して具体的な対策を何も行おうとしない政府がある限り、この国の災害対策の未来は暗い気がします。国民の意識が変わり、本当に国民のための政治を行える政治家や政党を作っている覚悟が、我々には求められている気がします。