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Weekly report

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 October Fourth week

 先日ストレスチェックテストを受けました。

 2015年から実施されたこの制度も、今年で4年目を迎えます。企業内の職場環境の改善を目的としたこの制度ですが、適切な運用をされているかは別にして一応制度としては根付いたと思われます。精神的な不調者ををあきらかにし、適切な対応を行おうとする考え方は正しいと思いますし、一人でも多くの方がこの制度によってうつになる前に適切なサポートを受けられることを私も望んでいます。

 この制度ですが、現状は50名以上の企業を対象に実施が義務づけられていますが、小規模な私の会社出も昨年から導入されています。今月中の受検を求められていたため私も受けてみましたが、結果は予想通りでした。

 結果はA、B、C三段階評価の”C”判定であり、専門家の対応を要する、とのことでした。昨年は”B”判定でしたので、今年は一歩段階が進んでしまったようです。数回のうつを発症している私としては、またこの状態が来たか、と思いますし、これからまた医者に通うのは正直暗澹たる気分ではあります。

 原因は非常に明確であり、ストレス強度の強い出来事が続いたことが理由と思います。一つはこの数年続いている介護の問題です。一昨年来両親とも介護施設に入っていますが、ご多分に漏れずその負担はやはり大きく、やや疲れてきているのがストレスとなっているのでしょう。これは誰しもが通る道で仕方ない、と思うのですが、やはり精神的な負担は決して軽くはありません。このストレスはいずれは解消されるのでしょうが、それでも当事者の身になると結構辛いものがありますし、いつまでという見通しもないため負担も軽くはないというのが実際です。

 もう一つの理由は、あまり考えたくはありませんでしたが、私と同世代の数年で還暦をサラリーマン同様の事態が自分にも及んできたことです。かつて定年が60歳の時代であればとっくに起きたことではありますが、私も事実上来季 以降の戦力外通告を受けてしまいました。自分で思ったよりショックは大きかったですし、うすうす感じてはいたものの実際にそれを宣告されるとやはり死亡宣告に近いショックがあることも解りました。

 プロスポーツ選手がそうであるように人間にもピークがあり、技術と体力の衰えからやがては引退時期がきます。ルーキーとしてデビューし、やがてはレギュラーを獲得して中軸として活躍をします。しかし年齢ともにベテラン扱いを受けますが、事実として技術は上がっても体力は少しずつ落ちていきます。酷使した体は故障がちになり、自分が思っているほどの成績も残せなくなります。やがてチーム全体も若返りを図る過程でベテランはレギュラーも外されますし、どんなに成績を残していてもベテランは出番が少なくなります。逆に試合で貢献しないベテランが控えでいることは、監督に使いにくいですし若手も遠慮します。出番が少なければ成績は残せませんし、過去の成績がある分それより下回れば確実に評価は下がります。

 自分自身はもっとできる、使ってもらえれば確実に成績を残せる、と本人は考えますが、過去の試合内容で戦い方も決められてしまいます。ホームランバッターが老境に入っても決してバントを命じられないように、それはできないものときめつけられます。さらにホームランの本数が減れば終わった選手として扱われ、スタイルを変えて生き残るのは極めて難しくなります。 今の成績は不十分でも今後の伸びしろのある若手が試され、実力があり確率の高いベテランでも活躍の場を失っていきます。若手に技術を教えても結果は若手のものですし、感謝はされてもベテランの評価には繋がりません。あとは静かに、引退の時期を待つしかなくなる、といのが多くのパターンです。

 それでも自分の可能性を信じて、トライアウトで他球団での活躍を望むベテランもいます。自分はまだできる、かつての活躍は無理でも平均以上の結果は残せると信じてチャンスに賭ける選手もいます。しかし実際にポジションを獲得できるのごく一部の選手だけであり、大半の選手は事実上の引退に追い込まれます。またどんなに苦労して得たポジションも、大概はほんの数年で終わります。

 これはスポーツ選手でもサラリーマンでも、個人事業者でも会社役員でも起きることであり、逆らうのは難しいのかもしれません。大切なことは残された時間をどう生きていくか、第二、第三の人生をどう形作っていくかを考える事ですが、戦力外を通告された直後にそれを考えるのは、は本当に難しいことです。

 正直の数年、この時が来ることを考えなかったわけではありません。しかしまだ大丈夫と自分に言い聞かせてきたことも事実です。しかしその日は突然来ますし、誰にでも来ます。今回のこの件は世の中の当たりまえの通過点ですが、その本人にとっては一生に一度の試練となります。

 こうした背景で受けた今回のストレスチェックテストの結果は、よくよく考えれば当然のことといえます。しかしそれをどう活用するかは、結局本人の問題です。県内大会でも勝てなかった弱小部活出身の選手ともいえる私が、ここまでやってこれたことは、奇跡ともいえます。プロの世界で十二分に成績を残せましたし、身に余る扱いを受けてきたのも事実です。しかし同時にベテランとしての終末期を迎えた今は、その成績が色あせてきたのも事実なのでしょう。そこににストレスを感じない人間はいませんし、職業人としてかならず通過する道です。しかしそれを素直に受け入れられないのは、人間としての業なのかもしれません。

 今シーズンの仕事はあっても、来シーズン以降は自分で活躍の場を探すしかありません。ここで潔く引退をして次の道を探すか、ベンチで刻々と引退を待つか、もうすこし現役として活躍できそうな場所を探すか、いよいよ私にも決断の時がきてしまいました。他球団でのオファーを待ちながらも、私も次の道を考え始めます。