首里城が焼失しました。沖縄県民にとって非常に重要な存在であり、沖縄県あるいは日本を代表する観光地が消失したわけですから、その被害は甚大なものといえます。火災の原因はこれから究明されるでしょうが、一刻も早い復旧を願いたいと思います。
今回の火災で、首里城の正殿と北殿、南殿が消失しました。首里城は門から入ってコの字に展開していますから、首里城を代表するがほとんど消失してしまったことになります。終戦直前米軍による沖縄攻撃によって首里城は消失しましたが、沖縄の復興のシンボルとして1992年に復元されました。それからわずか30年で今回の消失ですから、沖縄県民のショックは計り知れません。
火災原因はこれから明らかになるでしょうが、第一には関係者の不手際が疑われるようです。というのもこの週末に首里城ではイベントが開催される予定だったようであり、遅くまでその準備が行われていたようです。
この火災によって首里城が完全に消失した原因は、防火設備にあるようです。1992年の建築物であるにもかかわらず防災や延焼を防ぐ手段が不十分であり、火災の発生から数時間で多くの箇所が延焼してしまいました。火災報知器は設置されていたもののスプリンクラーもなく、今回のような事態になってしまいました。日本全国に歴史的建造物がありますし、そこには歴史的な収蔵物も数多く収納されているはずです。これらを守るためにも全国の歴史的建造物を再点検し、火災に対する備えをもう一度確認し再整備する必要があるようです。
しかし情報技術が高度に進化した現在、今回の延焼は非常に残念かつITに対するアイディア不足を強く感じさせられました。歴史的建造物に大型の監視カメラや配線が張り巡らされている姿は、決して望ましいものではありません。しかしこれだけ無線テクノロジーが発達しているのですから、無心によるセンサーや監視カメラの接続は可能なはずです。さらにカメラも通常の画像だけでなく赤外線カメラを設置することも可能ですし、それらを総合的にAIが監視することも難しくはありません。さらにAIを使い、定期的なドローンによる監視も有効に思います。深夜であれば墜落による事故の心配も少ないですし、赤外線カメラを搭載すれば火災のみならず不法侵入も発見できます。
さらに消火に関しても最新の設備を導入すべきです。多くの文化財で採用されているドレンチャー設備があれば、今回のように三棟に延焼する可能性は低かったように思います。スプリンクラーも未設置だったようですが、現在の技術を使えば外見を損なわず設置することも可能です。それ以外にもロボットを使った消火方法などもあり、ドラゴンファイアーファイターなどは火災現場の空中を浮いて消火可能ですから、文化財を不要に傷つける可能性も低いと思われます。
こうして技術は進歩しても、それを導入する自治体や管理組織の予算の問題や意識の低さが障壁となります。しかし文化財は国民の財産ですし、そこで守られるべきものは末代まで伝承すべきもので再取得が非常に難しい、あるいは不可能なものばかりです。だからこそ国が主導し、残ったすべての文化財にこれまで以上の対策を講じるべきと考えますし、これを機会に老朽化した設備も新たな設備に置き換えるべきと考えます。
そのためにも文化庁が中心となって、情報技術を使った防災ネットワークを再整備し、すべての文化財を遠隔でAI監視する体制を作るべきでしょう。さらに移動距離も考え、短時間で複数の箇所に運べる拠点を選定しさまざまな先進的な消火設備や機器を配置すべきでしょう。そしてなにより実効性の高い防災訓練を行い、万が一の場合でも迅速に対応出来る仕組みを、人間系だけでなく情報システムを使って整備すべきと私は考えています。