Onomura System Consulting Office       

osco top


Weekly report

next

back

 

 

 

 

osco top

 December Third week

 早くも週末であり、またまた更新の日が来てしまいました。最近またまた時間泥棒が出現しており、意識せず時間があっという間に過ぎてしまいます。泥棒の正体が分からないので対策のうちようがなく、本当に困っています。

 さて先週英国議会の総選挙があり、ジョンソン首相が率いる保守党が圧倒的に勝利しました。これにより英国のEU離脱が決定的になり、今後のさまざまな行方が気になることになりました。しかしこの話題をひもとけるほどEUと英国、ならびに世界のグローバル化の方向性をまだまだ理解していませんので、今回はこの話題は避けます。

 で、もう一つ気になったのは、大塚家具がヤマダ電機と資本提携です。今回ヤマダ電機が大塚家具の株式の51%を握り、親会社として経営再建に臨むようです。父親である創業社長を辞任させ不振の続いていた大塚家具を新たに率いた娘の大塚久美子氏でしたが、数年で売上を大幅に失いこのところ資金が不足する苦しい経営が続いていました。店舗閉鎖やリストラを重ねたものの業績は上向かず、今回ヤマダ電機の配下に入る決断をしたようです。大塚家具を離れた父親が立ち上げた匠大塚は業績が好調のようですから、家具市場そのものが衰退しているわけではありません。続投を条件とする大塚久美子社長の意向を汲んだのは唯一ヤマダ電機だけだったようですが、その経営手腕には疑問符が残るところがあります。ヤマダ電機の山田会長は一度は資本提携を断っていますが、ここにきて急に変心されたことになります。山田会長は経営の達人ですから、今回の子会社化の今後のシナリオはきちんと描けているのでしょうが、そのシナリオと大塚社長のシナリオが一致しているかも非常に興味深いと思います。

 しかしこの件で面白いと思ったのは、ヤマダ電機の思惑です。電化製品の売り場に家具を並べても、両者のシナジー効果が薄いことは解ります。しかし両社が本気で共同で製品開発を行うとなると、これまでとは違う新しい家電製品が生まれる可能性がありますし、スマートホームの実現に数歩歩みを進めることになるかもしれません。

 たとえば冬の商品であるこたつは、間違いなく家具であり電化製品です。天井の照明もインテリアの一部であり、部屋のコーディネートの中で重要な役割を果たします。昔は家具調のテレビやステレオが沢山販売されていましたが、テレビも多くの家庭でテレビ台を使っているでしょうしそれも家具といえます。ダイソンなどのハンディクリーナーは壁に設置するケースが多いと思いますが、電化製品としてむき出しになっているより、家具の一部として収納されている方がずっとスマートに思えます。それらは現在でも作れる製品ですが、これにネットの機能やインテリジェント機能を搭載すると、もっともっと便利になる可能性はあります。

 たとえばタンスの鏡がモニター化され、所有する服をカメラに写せば自分自身が着用したかのように見せられるのであれば、コーディネートが簡単になります。衣料品販売店のサイトと直結すれば、居ながらにして様々なコーディネートを試せますし、簡単に購入することも可能です。

 Amazonダッシュというボタン型の注文システムはあまり流行りませんでしたが、収納庫にカメラを付けてその出し入れを自動で監視できるようにすると、出しただけで収納されなかった商品は消費してしまったと判断して注文のレコメンデーションが行えるようになるかもしれません。同時に消費期限も読めるようにすれば、収納している食料品などの期限管理も自動でできるようになります。本棚にカメラとセンサーを入れれば、書籍の管理は自動でできることになります。そうすれば好きなマンガの新刊が出れば発注するかを本棚自らが尋ねてくれるようになるかもしれません。

 ソファにセンサーを仕込めば、体調管理や体重管理もできるでしょうし、その人間が寒さを感じているようであればシートヒータ機能を使って温めてくれることもできます。暑い夏は内蔵のファンから風を送り、長時間ソファに座っていても快適に過ごせる可能性もあります。

 このように家具と電化製品が一体化すれば、これまでにない新しいサービスを生み出せる可能性がありますし、より便利で安全な環境作りができるようになります。現在家電メーカーは新しい製品開発に苦心していますから、家具と融合したアイディアをもつことは、OEMでそういった製品の開発チャンスを得ることができるようになるのです。

 かつてビックカメラとユニクロが共同でビックロという店舗を新宿に出店しました。今でも新宿に店舗がありますが、相乗効果が十分発揮されたという声は聞こえてきませんでしたし、当初の目論見とは違う結果になったことは間違いありません。今回のヤマダ電機と大塚家具の場合とは扱う製品が違いますが、今回の電化製品と家具とのほうが両者の親和性が高いことは事実です。となると、この意外な組み合わせがイノベーションを生み出す可能性があることは否定できません。

 今回の提携が今度どのように展開するかは非常に面白いと思っていますし、それが実現できるのは山田会長が両社を自由に扱えるときなのかもしれません。今後の大塚家具とヤマダ電機の動きに、目が離せそうにありません。