今週も新型コロナウィルスの話題が尽きません。先週予測したとおりいよいよ経済にも影響が出始めており、先行きが不安な状況です。
まずは新型コロナウィルスの状況ですが、中国国内では死者が千人を突破したようです。中国政府は封じ込めに躍起になっていましたが、ところどころで大きなほころびがあり、結果として拡大は止められていません。春節が終わっても故郷に留まる人間も多く、中国経済そのものに影響が出始めているようです。軟禁状態のクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号でも感染者数が合計130名を越える状況です。各部屋に軟禁されている事から今後感染が治まるのか、それとも既に感染した患者がさらに発症するのか予断を許さない状況になっています。退職後のイベントとしてクルーズを楽しんでいる高齢者の方も多いでしょうから、続く軟禁で体力が弱ることによるさらなる感染が起きない事を願うしかありません。
日本でも中国を結ぶ航空便の欠航が相次ぎ、結果として中国人観光客の足が途絶えています。静岡空港も中国便を欠航させましたが、結果としてホテルに10万人弱のキャンセルが発生したようです。単純に一人1万円としても10億円の損失ですから、相当なものです。京都では2月に入って日本人観光客のキャンセルも相次いでいるようであり、海外需要のみならず国内需要も落ち込んでいるようです。今後はそれ以上にキャンセルが発生するでしょうから、日本全体で考えれば1日数億円の損失が生まれていることになります。
私の住む東伊豆町の隣の河津町では、10日から河津桜祭りが開催されていますが、客足は減っているようです。私も9日に川沿いを歩いてみましたが、例年に比べ客数は少なくなっているように感じました。この祭日の間はそれなりの人出なのでしょうが、今年は日本人が観光の中心になるように思います。周辺の宿泊施設や飲食店にも少なからず影響はでるでしょうし、今年の河津桜景気は例年になく低調になる予想です。
しかし今回の新型コロナウィルスの正体はなかなかつかめないようで、明確な対策を打てていない現状が続きます。抗HIVワクチンとインフルエンザワクチンに効果はありそうなことは解っても、どの段階のどういった患者に効くかは不明です。感染経路や方法、潜伏期間もまちまちであり、正直解らないことだらけと言っても過言ではありません。巷ではマスクがヒステリックに消費されているようですが、マスクの効果は限定的ともいわれています。アルコール消毒は効果がありそうですが、その前の手洗いも大事であり、本当にそれだけで効果が生まれるかは風聞に過ぎないように思われます。
何よりの問題は、政府の検査方針が明確にならないことでしょう。簡易検査キットの開発は可能なようですが、そのスタートがずいぶん遅くなったように思います。厚労省の官僚も相当に及び腰であり、武漢などの滞在者や帰国者、それらの人で感染が確認された人と関わった濃厚感染者のみが検査の対象になっているようです。逆に他の中国からの来訪者を案内したガイド等、中国国内で感染した可能性がある人が訪日中関わった人で新型コロナウィルスを原因とする症状を発症した人は、ただの風邪と断定し検査を受けられないようです。中国国内で蔓延し始めている以上疑わしき患者は検査すべきと思いますが、可能性の有無ではなく単なる規則に縛られてしまい、医療機関が疑っても検査は行ってもらえないという妙な状況が発生しています。
大切なことは、手間やコストを前提に蔓延防止策を限定するのではなく、疑わしきは検査を行い疑いを晴らすべきと思います。なぜなら検査しないことで保菌者が日本国内に大量のウィルスをばらまけば、確実にパンデミックになりますし、その対応の手間とコストを考えれば今の馬鹿なルールをどうするかは明らかだと思われるからです。
SARSの教訓は、残念ながらこの国ではいかされていません。今回の新型コロナウィルスから何かを学べればいいのですが、その前に日本が滅亡する可能性すらでてきています。クルーズ船の患者を霞が関のそばに集め、自分の権益だけを大切にする政治家や高級官僚が新型コロナウィルスに罹患して痛い目に遭わない限りこの国は変わらないのかもしれません。