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Weekly report

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 March Second week

 新型コロナウィルスの感染拡大は止まりません。全国で420人あまりの感染者が発生し、死亡者も6名を越えました。20代の患者の重体も伝えられていますし、小学生より下の年齢の子供も感染しています。いよいよ本格的な感染拡大は避けられない状況ですし、4月以降には生活の様々なシチュエーションで影響が発生しそうです。

 一国の無能な総理と節操のない政治家、権益に凝り固まった官僚が起こした今回の騒動は、人災としかいいようのない状況に近づいてきました。

 昨年の消費税増税の際、「リーマンショック級の出来事がないかぎり」ということを明言し増税を行った総理ですが、リーマンショックを越える経済への影響を目の当たりにしても、減税はおろか明確な対策を行う気が無いようです。当初の対策予算は150億円と、新国立競技場建設の10分の1しか出すつもりありませんでしたが、ここに来てようやく2700億円の予算を計上しました。しかし、これも上限であってどのぐらい費用を使うかはまだまだ不透明です。雇用者対策に補助金を、などと目くらましをいっていますが、これも雇用の保障や企業の業績にはまったく配慮した内容ではなく、たんなる目くらましであることは国民の多くが知っています。実際に困って企業や個人に貸し付けをしても、本格的な営業再開ができなければその返済の見通しは立ちません。こんな簡単なことすらわからない政治家や官僚に国を任せていることは、本当に危機感以外の何も感じません。

 さらに中国からの観光客の入国制限を設けなかったのは、日中首脳会談を開催するため、という政治的な目的であったことが明らかになってきました。また検査をせず、強制力を持った法的措置を行わないのも、東京オリンピックをなんとか開催にこぎ着けるための方策であったことも露呈しています。結果罹患者が日に日に増大し、経済が大幅に痛んでしまった責任を、無能な政治家と官僚はどう責任を取るつもりなのか、厳しい目で見ていくしかありません。

 学校の休校が代表するとおり、予想通り経済の影響がさまざまな観点で発生しています。学校の休校によって、給食関連の食材業者が大きな影響を受けました。手配した余剰の食材を安価に販売することで乗り切っている業者も多いようですが、それでも正規の利益を得ることはできないことから影響は小さくありません。

 三月中のライブや劇場などの上演は、ほとんど中止になってしまいました。実際に二月中旬に大阪で行われたライブに参加した観客から複数の罹患者が発生してしまい、ライブなどは一気に中止になってしまいました。ライブだけでなくスポーツも中止や延期、無観客試合が続いています。春の高校野球はなんとか開催するといっているものの、無観客地合になる可能性が高いようです。自らの晴れ姿を多くの観客に見せることが大切なのに、観客のいない甲子園での実戦は、練習試合の様相を呈しそうです。大相撲も無観客であり、部屋の稽古場よりも盛り上がりに欠けそうな雰囲気です。私の友人は劇団を持っていますが、芝居の公演そのものが危うそうです。スポーツと違い無観客上演は演劇にとって非常に難しいようですし、出演者も非常にやりにくいと思います。

 公演中止や無観客試合は、その関連のビジネスに大きな影響を与えます。下手をすれば一年以上前から予約した会場のキャンセルは難しいと思われますし、キャンセルした場合に会場側の損失は多大になります。演劇やライブはその準備に相当なお金と期間がかかりますし、多くの人々が関わって成立しています。いったん中止になればそれらの支出は回収しようがありませんから、そういった活動を継続することが難しくなります。さらに劇場経営や準備活動で生計を立てている方にとっては公演中止は死活問題ですから、ビジネスそのものを継続できなくなる可能性すらあります。

 観光地の宿泊施設や関連施設、市中の多くの飲食店も、苦しい営業を強いられています。特に海外からの顧客を当て込んでいた全国の宿泊施設は、初夏までキャンセルが相次ぎ営業の目処が立たないところも増えています。特に地方空港のそばの宿泊施設は、海外からの直行便を当てにしたビジネスをしてきたため、影響は直撃しているようです。仕入れを止められてもスタッフや設備などの固定コストはかかり続けますから、年間の1/3ほどの期間損出だけが続きます。付近の納入業者のダメージも計り知れませんから、地方経済が相当に疲弊することは間違いありません。市中の飲食店も客の入りが悪く、仕入れの量を落とさざるを得ません。市場には一定量の商品が流通しますから生鮮食料品の余剰在庫が生まれ、過剰供給により価格が下落してしまいます。結果的に市中の飲食店が苦しくなるだけでなく生産者の利益も減り、日本経済そのものが大きなダメージを受けます。

 さらに世界的に見れば、製造業もこのサイクルに陥り始めているように思います。世界の工場たる中国の生産が停止状態ですから、多くの国で必要とする部品や商品が届きません。運輸業も影響を受けますし、製造そのものができなくなります。偏った商品の価格が高騰したり供給が止まったりと、企業にも大きな影響が生じます。実際私も5月納期で車を注文していましたが、生産は早まったものの一部の部品が届かず、オプション等は当面バックオーダーになる模様です。

 逆にマスクの転売が来週から禁止される模様になると、Amazonなどで転売を図っていた店舗が軒並み価格を下げ始めています。先日までは50枚入り一ケースの価格で1万円を切るものはありませんでしたが、この週末はほぼ3000円前後に落ち着いてきています。とはいっても平常時は300円程のものですからまだまだ高いですが、それでも品薄が少しでも解消されることは望ましいと思います。

 こうやって考えてみると、どう見てもこの一週間で確実に経済が痛んだことが解りますし、回復の兆しは全くないとしかいいようがありません。新型コロナウィルスの効果的な治療法を見つける以外には、積極的な対策はないように思われます。となればもう一度国が真剣にこの事態を捉え、中長期的に何をすべきか、そのためにどのように資源を配置すべきかを本気で考えてもらいたいと私は思っています。