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Weekly report

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 June Second week

  そろそろ梅雨の気配が感じられるシーズンになりました。梅雨によって新型コロナウイルスの勢いが衰えることを願いたいところですが、現状の小康状態がどうなるかは誰にも解りません。

 6月に入って、テレワークも一段落させる企業が増えているようです。たしかに一月前に比べて感染者の数は減っていますし、マスク等も市場に出回るようになりました。これまで停滞していた経済を動かすためには必要という考えは理解出来ますし、対面で行わざるを得ない、あるいは社外に持ち出しにくかった資料や物品を利用した業務をおこなうためにも出社することが必要なのかもしれません。

 ここにきて企業倒産も始まっています。現在のところでは、宿泊関係の倒産が多いようで40件弱あります。それ以外にはやはり対面サービスが必要となる業種であり、結婚式場、ヘアサロン、エステなどが倒産しています。飲食関係も多く、材料を取り扱う問屋なども影響を受けて倒産しているようですし、タクシー会社も複数倒産しています。車関係の製造業もいくつか倒産が始まっており、このところの自動車不況と相まってギリギリの水準で経営している工場も数多くあることが予想されます。

 もちろん個人経営や小規模経営の飲食店や飲み屋は相当に苦しいと思いますし、公的資金援助も望めない現状では経営を続けても採算を取れる保証はありません。学校等も新学期がやっと始まったようではありますが、学年やクラスを制限したり、時間を短縮したりと平常授業までの道のりは遠いように思います。となると給食関連のビジネスも苦しいでしょうし、そこに商品を供給している問屋や食品製造業者も安定的な需要が望めないでしょう。

 映画館は三密を避ける形で上映を始めましたし、各地の美術館や施設も人数を制限するなどの方法で営業を開始しています。しかしコストを賄うだけの収益が上がるかは難しいところでしょうし、関連する商品や飲食物の販売も自由には出来ないと思われます。営業開始しないよりはまし、程度の状態がいつまで続くかによって、またそういった施設の閉鎖もあり得るのかもしれません。

 テレビや映画などのエンターテインメント業界も撮影等を開始したようではありますが、多くの人間がどうしても密にならざるを得ませんから、これまでと違った工夫が必要になるのでしょう。テレビの収録は出演者がモニターで出演したり出演者同士の間隔を広く空けて、といった工夫で乗り切っていますが、一端罹患者が発生するとまた停止する危険もあります。芝居も出演者同士を遠ざける今までとは違う演出が要求されるでしょうし、満員の観客の前で行うことは当面先のように思えます。しかし満員近く人を埋めないと採算がでない業種ですから、こちらも当面は苦しいように思います。

 こうやって考えてみると、先週述べたとおり特効薬やワクチンが普及しない限り、新型コロナウイルス発生前の状態に戻ることは不可能に思えます。一端経済が盛り返しても、患者数の増加によってあっという間に減速することは間違いありませんし、それが一回ではなく今後周期的に訪れる可能性が高いですから、当面は経済にとって非常に危機的な状況が続くでしょう。業績悪化や倒産も増えるでしょうし、失業者の数も増加することが予想されます。

 大切になるのは、やはり国のあり方です。現在を戦争状態を考えれば、過去の歴史や他国に学べます。諸外国が行っている対策を見ると、私には戦争になれているか田舎の違いに思えてしまいます。潤沢な支援を行っている欧州は日本同様戦争の影響を強く受けましたし、そこから回復するためのノウハウをきちんと保有していたように思えるのです。逆に日本は戦後あれだけの復活をしたにもかかわらず、そのノウハウが何も残っていないことが大問題でしょう。焼け野原で食べるものがない時代にさまざまな工夫によって産業を復興させてきたのですから、日本のノウハウは相当なものであったはずです。

 戦後を振り返ってみると、まずは基幹産業の隆盛による雇用の拡大であったように思います。現在世界的な基幹産業はITなのですが、現在の日本のIT企業に基幹になるうるだけの力はありません。だからこそこの際IT業界に積極的な改革を行い、下請型産業からプライマリー産業に変革すべきです。同時に不況にあえぐ産業や企業と密接にタイアップし、IT時代の新しいビジネスモデルを創り出すべきでしょう。たとえばアパレル産業とIT企業がタイアップし、オンデマンド製造を行うことは充分に考えられます。自動の縫製機械を街中に設置し、素材メーカともタイアップし小ロットで生地を手配できるようにします。店で気に入ったデザインの衣類を見つけたなら注文者の体型に合わせた縫製を行います。その際にデザインオプションも加えられるようにすれば、誰でもが気軽にオーダーメイドで衣類を購入することができるようになります。

 デザイン料も一着あたりの支払いにすれば、フリーのデザイナーが数多くのアイディアを提供する事ができるようになりますし、収入も得られやすくなります。生地メーカも小ロット生産ができるように工場体制を変えられれば、流行に素早く対応する衣類が作成できるようになります。こうして衣食住の一つが活性化すれば雇用は生まれますし、デザイナーや縫製工場など小規模な店舗や個人が雇用を得やすくなるでしょう。

 このようなITをベースとした新しい産業のあり方を沢山考え、国が雇用や税制の面で優遇を行い規制を減らせば、この国の未来は決して暗くありません。大切なのはそのアイディアを生み出すこと、そして試すことです。そういったチャレンジャーの出現を、日本という国は待っているように私は思います。