6月19日、政府より要請されていた5都道府県の県をまたがった移動制限が解除されました。さらに東京とも繁華街の規制をゆるめ、本格的な営業か可能になりました。自粛ムードの中で危機的な状況にあった飲食店や観光施設にとっては非常に有り難い状況となりましたが、今後の新型コロナの再拡大についてはなんともいえない不安が残ることも事実です。
感染者数は一定元に抑えられていますが、それでも東京都では6月に入ってからしばらく落ち着いていた感染者数がこのところ30〜40名確認されています。全国では毎日40名を越える患者が確認されており、本当に感染の波が落ち着いたとは言いがたいように思います。自粛を重ねに重ねてこの数字ですから、経済そのものが元に戻ればやはり再度の激増が考えられます。効果的な治療法や防止策が見つかっていない現在、3月に入ってからの状況と気温・湿度以外はたいした違いが無いように思いますので、また3月後半から4月の状況が発生しても何の不思議もありません。経済の疲弊を防ぐために解除は必要なのでしょうが、もう少し対策を検討してからの以降の方が安全と考えるのは普通のことのように思えます。
私自身も、7月からいよいよ企業の会場におけるセミナーが始まります。世界の研究報告を見ると、血液型Q型の重症化率は低くA型は高いようです。還暦間近で高血圧で喘息の持病のある血液型A型の私としては、やはりこの状況で罹患すれば命の危機となります。その状況で研修を行うリスク、少なくともそこに通う電車でのリスクは非常に高い用に思います。さらに繁華街に訪れるのはサラリーマンが多いと思いますので、会場での観戦も充分に考えられます。新型コロナウイルスは無症状の患者も多く存在するようですから、その意味で本当に不安はつきません。
4月から3ヶ月の間、Zoom使ったWebセミナーを実施してきた身としては、わざわざ現地に赴かなくても実施できるセミナーが多いように思います。受講者間のやりとりについてもう少し工夫は必要とは思いますが、それでもWebでも集合研修とそれほど変わらない研修を実施することは可能と思います。ネゴシエーションなどの一部のセミナーは対面した交渉練習が必要に思いますが、実際の業務においてWeb会議で交渉するシチュエーションが増えることを想定すると、Webへの切り替えも出来るように思います。
今後の感染予防のためには、やはり通勤と企業内の三密が問題になると思われます。現在のオフィスは基本的に窓が開けられず、エアコンによる空調が一般的です。外部との接点は屋上の室外機が多いでしょうし、一端コロナがビル内で発生すれば、オフィス全体や他の階にも空調を通して拡散する可能性はあります。新型コロナの飛距離は短いと言われていますが、オフィス内を空気が循環する以上拡散の可能性は低くはないでしょう。ましてや罹患者が通勤や食事等でオフィスやビル内を移動しますから、一端オフィス内で感染者が発生すればクラスターとなる可能性は低くないと思われます。
通勤電車やバスの状況も同様であり、窓を開けたとしても空気が流れるのは情報部分だけのようです。混雑した電車で立った人間の顔から下はほぼ空気が流れないようですから、その付近の人間が罹患する可能性は低くありません。生活習慣として通勤を行っている方も多いでしょうし、その方は同じ時間の同じ場所で電車に乗ります。となれば感染を防ぐことは事実上不可能でしょう。
こう考えてみると、一番効果的なのは通勤をせずに仕事を済ますことです。Webを使った業務で代替できる業務が多いことは、この数ヶ月で多くの企業で証明されたはずです。小さい企業はどうするんだ、顧客と対面しているサービスは、と各論を上げればキリはありませんが、すくなくともこれまでWebに切り替えられた業務をそのまま継続するだけで感染率は大きく下げられる可能性があることは確かです。
東京をはじめ全国の主要都市では、事実上通勤に多くの時間がかかります。私が若い頃大阪に勤務する人間で30分以上の通勤をおこなう方は少なかったように思います。しかし現在では、東京同様通勤に1時間以上かかる方はざらでしょうから、通勤時間の問題は日本全国の問題といえます。その客がいなくなることで鉄道会社は影響を受けるでしょうが、それでも工夫をおこなえば乗客の少ない地方鉄道のように生存の方法はあるはずです。
かつて幻想のように、ビジネスパーソンは真夏でもスーツとネクタイを外してはいけない、というルールがありました。そこに何の理由もなくても、意味の無い常識を押しつけ守ってきたのが日本人です。しかし新しい生活習慣といわれるように、この状況が生まれた以上これまでの常識を抜本的に見直すことは仕方ないように思います。さらに通勤の往復がなくなり、無駄な会議や接待がなくなることは、業務の生産性向上に役立つ可能性も多分にあります。往復2時間を削減でき、無駄な会議や接待によってさらに数時間を削減できるのであれば、その半分の時間を使って業務をおこなっても生産性は高まります。そのうえオフィスでの意味の無い人間関係も解消できれば、ストレスは確実にさげられます。これだけ人間関係でうつになる人間が多いのですから、その意味でも国の健康保険負担は軽減できるでしょう。
企業にとっても、オフィスそのものの借り入れ面積を削減できる可能性もでますから、通勤費を含めたコスト削減効果は非常に大きいと思います。賃借料や什器、さまざまな保管料のうえ通勤費や移動費が大幅に軽減できますので、その半分を社員に還元するだけで社員は一部屋広い家を借りることが可能になるかもしれません。そうすれば自宅での業務効率がさらに上がりますし、家族との時間が増えれば働き方も抜本的に変えることが可能になります。さらに自宅滞在が増えれば、地元の飲食店やサービス業も繁盛し、地域の活性に繋がる可能性もあります。
もう少し考えてみると、これを機会に地方への移住も進められるかもしれません。私自身熱川からセミナーを提供していますが、距離の問題を感じたこともありません。都内まで2時間ほどででられますから、いざという場合の出社も不可能ではありません。となれば、地方経済も活性できる移住環境を自治体が整え、都会からの移住者を受け入れることも夢ではないでしょう。
このように新型コロナウイルスは、我々の生活そのものを新しい時代のあり方にかえるきっかけとなる可能性があります。腐った常識を今こそ投げ捨て、新しい働き方を提言する人間が一人でも増えることが、この国の閉塞的状況を変える唯一の手段なのかもしれません。