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Weekly report

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 July Second week

 いよいよ梅雨も終盤に入ったようですが、今年は全国で大雨の被害が続出しています。

 先週一週間降り続いた雨は、令和2年7月豪雨と名付けられました。九州を中心に記録的な豪雨が続き、各地の河川が氾濫し大きな被害を生み出しました。九州では球磨川、諏訪川、筑摩川、大分川などが氾濫し、流域の街で大きな被害を生みました。そのほかにも多くの県で土砂崩れなどが起き、主要な幹線道路や線路が流される被害が生じました。今週もまだ雨の可能性があるため油断できませんが、近年まれにみる大きな被害をもたらした大雨となりました。

 九州で流された鉄道の路線は、多くがJRから第三セクターに譲渡されたものです。それぞれの会社は資金力が弱く、乗客数も多くはありません。洪水で流されたということは川のそばですし、最悪鉄橋が流されてしまっていたり車両が水没したりと、復旧には多大な金額と時間が必要になります。それでもお年寄りや中高生など車の運転ができない人にとっては、重要な生活の足ですから廃線となると多くの人々の生活を脅かします。今回の災害では非常に多くの被害が生じましたが、こういったライフラインの断裂は非常に大きな痛手となりますし、今後の復興も非常に厳しい道となることは避けられないようです。

 これだけスーパーコンピュータの性能が上がっても、こういった災害の予測ができないことは本当に歯がゆい限りです。河川増水のシミュレーションは昔からおこなっていることですが、そのパラメータが大幅に変化してしまい予測精度が下がってしまっているのでしょう。護岸を高くする、橋梁の高さを上げるなどの物理的な対策は限界があるでしょうし、コスト効果も疑問です。家屋が水没し家財がだめになるのは本当に気の毒ですが、国は個々人の財産よりも生命を守ることをおこなうべきと思います。

 避難に関しても、実際の行動に移させる強制力を持たせるべきでしょう。実際コロナの脅威の中で避難所に移動するのは心理的な障壁が高いでしょうし、何もない場合の徒労感は激しいと思います。それでも人命に関わることに比べれば、やはり非難は意味のある行為と思います。これから高齢者がますます増えるからこそ、高齢者を中心に非難を考えるべきでしょうし、氾濫の危険性がある高齢者施設などは、1階に居住スペースをつくらない工夫などが必要に思います。

 さらにこれだけ全国規模で洪水等が起きるようになっているのですから、荒天でも救助が可能なさまざまな機器の開発を検討すべきでしょう。世界の軍隊には、水陸両用輸送車両のような海上を移動できる車両が実際に運用されています。自衛隊でも60両ほどの車両を保有しているようですが、全日本規模で考えるとやはり車両数が少ないと思います。自衛隊のように戦闘目的の場合、装甲を厚くするなど防弾装備を充実させるため価格が高くなりますが、救援用のような目的でもっと軽量かつ簡易の車両を開発することができれば、河川の氾濫が予想される多くの自治体で保有することができるようになるかもしれません。災害を想定した全国規模の運用を考えれば、すべての県に車両を配備する必要は無いと思いますし、効率のよい運用も可能と思います。

 さらに考えてみると、多くの地域で土砂崩れ等が起き、住民が孤立したり物資が途絶えることがあります。こういった際に、日本では認められていないオフロードバギーのような車両を導入することも検討すべきと思います。オフロードバギーは4WD車でも走破が難しい悪路でも走行可能ですし、オフロードバイクよりはるかに安全で運搬力があります。こういった車両にドローンを組み合わせると、被災地の近隣まで接近し、そこからはドローンでさまざまな物品を運搬することが可能になります。現在オフロードバギーは安全性などの問題で公道を走ることを認められていませんが、有事の際には有用な運搬手段となるのですから規制を緩和すべきです。特殊車両同様相応の免許を発行し、さらに自治体や警備会社など災害救助にあたる企業や個人に銃器と同様の購入許可を与えるなどして、有事の際の支援ツールとして使うことを考えるべきでしょう。

 電車通勤という常識的行為は、新型コロナウイルスによって必要性を再考する必要が生じました。多くの企業が再考し通勤という行為を再度定義したとき、現在のテクノロジー状況下では必ずしも必要が無い行為であることが気づかれました。これと同様に、戦後の技術や常識では難しかったことも、最新のテクノロジーを使えば可能になることが沢山あります。水害という古くて新しい災害に対応するためさまざまな常識を見直し、新しい時代のテクノロジーの活躍を我々は考えるべき時に来ていると私は思います。