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Weekly report

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 July Third week

 連日の大雨の中、新型コロナウイルスの感染が再び拡大しています。

 先週の感染者数は全国で2000名を越え、4月のピーク時に迫る勢いで感染者数が増えています。全国の患者数は4500名ほどであり、このまま増え続ければピーク時の9000名をこえるかもしれません。9千名を越えたとき医療崩壊が騒がれましたが、このままでは医療崩壊が起きる可能性が生まれてきています。東京の感染者数も日々増え続け300名に迫る勢いであり、今後も増え続ける可能性は極めて高いように思われます。

 そのような状況下で政府は、当初の予定を前倒ししてでも「GO TO トラベル」キャンペーンをはじめるつもりです。旅行代金の一部を負担するこの政策は、全国の観光関連産業を支援する意味でおこなわれます。しかし新型コロナウイルスの感染が再び急増する中でこのキャンペーンを実施すれば、全国で感染拡大が起きる可能性があります。先週東京からの旅行者や東京への旅行に対してはキャンペーンを中止することが決定されましたが、感染拡大の東京都に通勤、通学する人間は神奈川、埼玉、千葉にたくさんいますから、程度の違いがあるだけで感染拡大が起きることは間違いないでしょう。これまで発生していなかった岩手でも、感染者が発生する可能性があります。夏は北海道や沖縄への観光客が増加するシーズンですから、医療体制の弱いそれらの地域でも大量の感染が起きる可能性があります。わざわざ国の予算を使ってまでこの状況を推し進めようとする政府の行動は、正気とは思えないところがあります。

 今回の施策の裏には、主要政党の幹事長の影がちらつきます。全国旅行業協会の会長がこの幹事長であり、その強いごり押しで今回の施策が実施されるようです。多額の献金を目当てに国民の命を危機に追い込むとは、政治家としてあり得ないことと思います。仮にそれが真実でなくても、観光に従事する人々の生命を守るために「今は旅行は控えて欲しい」と要望するのが全国旅行協会会長として、主要政党の幹事長としておこなうべきことと思いますが、不思議とそういった声も聞こえません。その気になれば、GO TO トラベルキャンペーンの予算を観光産業の支援に使うことができるはずですが、それもないようです。となると、何が真実かは論理的に明確なように思えます。

 GO TO トラベル・キャンペーン実施の結果として全国に感染者が急増すれば、全国で医療崩壊が起きます。結果として助けられる命を失うことになりますし、貴重な医療従事者そのものを失ってしまう可能性もあります。医師や看護師を育成するためには長い年月が必要ですが、感染が拡大すれば医師や看護師も罹患し最悪死亡したり後遺症が残る可能性もあり、再取得が極めて難しくなります。新型コロナウイルスが長期化すると考えると、こういった医療従事者を如何に保護し稼働を高めていくかを考える必要があります。

 感染拡大を防ぐためには、企業の取り組みも非常に重要です。このところ富士通社が積極的に新しい働き方を見直しているようですが、今回はSEの客先常駐を見直すようです。客先常駐があると、担当者は顧客の常駐先に出金する必要がありますから在宅勤務はできません。結果として新型コロナウイルス感染の可能性は高まってしまいますし、通勤過程で他の人々にうつす可能性も生まれます。接客や直接作業に従事する食種は別ですが、オフィスワークなどPCやネットを利用した仕事はリモートワークが可能ですから感染の可能性は減らすことが可能です。

 しかしいまだに金融機関などは、在宅勤務を基本的に嫌う傾向にあるようです。本当はリモートワークで多くの仕事は行えるにもかかわらず、一日毎などという合理性のないルールを作り社員の出社を要求します。私も金融機関に居りましたのでよくわかりますが、昔は柄物のシャツなど着て出社すると、あらゆる社員から一日中嫌みを言われ続けました。真夏にスーツ、ネクタイは必須でしたし、スーツの色や柄も指定が本当に多かったように思います。それから35年以上経ったいまでも、金融機関系の仕事で講師に立つとなると、社外の講師であってもスーツ、ネクタイが要求されますし、白い無地のシャツを要求されます。私は白い無地のシャツなど持っていないので絶対に着ませんが、理由もなくそれを要求するような意味の無い文化が金融機関に残っているのです。

 しかしそういった意味の無いルールと文化を守り続けた結果、銀行は店舗縮小と大幅なリストラをおこなっています。証券会社や保険会社も同様であり、昭和につくられた多くのルールを見直さない限り、金融機関の生き残りは不可能と思います。しかし金融機関の大半の管理職はそのルールを絶対と思っています。なぜならルールを変えてしまうと、自分が受けた理不尽さを部下に押しつけられなくなりますし、新しいルールに対する責任を負わなければならなくなるためです。臥薪嘗胆で出世した管理職は、目の前に広がるオフィスにいる沢山の社員の面前に立つことが快感なのでしょうし、その社員が管理職の理不尽な要求に応えていくことを見るのが幸福なのでしょう。しかしこの発想が変わらない限り、金融機関の人間がリモートワークをおこなうことは無理だと思います。

 こういった昭和につくられた企業文化やルールを変えることが、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ一つの鍵になります。さらには日本のイノベーションを活性化させる大きなチャンスであることに、昭和の頭をもった企業経営者は真剣に考えるべきと私は考えます。