第99代の総理大臣が誕生しました。
前政権の突然の交代により誕生した内閣ですが、今後についても先行きが不透明な部分が残ります。対抗馬であった政治家は完全に自民党から嫌われていることが明らかになりましたが、前政権のさまざまな闇を暴く可能性のある政治家はマズイという判断のようです。前政権時代の官房長官が総理になったことで前政権の実施した施策は踏襲されるようですし、少なくとも当面の時間は確実に稼げます。その中で今後訴追につながるような証拠を一つずつ消していけば、前総理は安泰ということなのでしょう。
さまざまな疑惑を残し、日本を戦争に向かわせる可能性を高めた前政権をどう引き継ぐかは今後見守りたいと思いますが、国民を懐柔する携帯電話料金の引き下げというわかりやすい施策を前に出していることが本当に気になります。携帯料金の引き下げを行っても国そのものは一切の痛手がありませんし、それによって国民の関心と支持を得られるのであれば効果的な施策です。それによる支持率を背景に、「自助、共助、公助」を推し進めていく考えなのでしょうが、それが巧くいくかは今後次第でしょう。
施策である自助は自らが責任を負う、ということなのでしょうし、新型コロナウイルスによって企業や商店が倒産しても、まずは自己責任でなんとかしろ、ということのようです。それでもダメなら家族や親族、友人を頼って生計を立て直せ、というのが共助ですし、困った人間は自ら助けろというのが共助です。そして国が担当すべき公助は最終手段と言うことですから、この政権の真意が露骨に見えてしまいます。
新型コロナウイルスは戦争と同じ被害をもたらしますが、戦争と違って建物やインフラなどの物理的なものには影響がありません。建物やインフラを含めた街が失われたならばそこに再び公的・私的投資が起きて道路や上水道、電気などのインフラが復活し、建物が建ち住民が再び生活を始めます。そのために大きな金額が循環しますから経済にとってメリットは非常に大きいといえます。足りないお金は国が金融政策を実施して還流量を増やすのでしょうし、経済が盛り返せば金利を含めより大きなお金が回ります。それによって国は多くの税収を上げることになりますから、施策によって経済が活性し国も潤います。
しかし新型コロナウイルスは、こういった建物やインフラには一切の被害を与えず、ただ人間のみを狙います。治療には公的な保険が利用されますが、支出のみでお金はほとんど循環しません。さらに罹患した人間が治っても経済としてはほとんど影響がありませんし、ただただ公的な資金だけが流出します。経済が回っていませんから税収は上がりませんし、公的資金の原資はどんどん細ることになります。となると、経済政策も打てず、結果として経済は益々悪化します。失業が増えれば失業保険などの手段で国が保証を行わなくてはならなくなますから、それを極力回避したいというのが本音でしょう。
となると、国は基本的に困った人間は助けない、まずは自分でどうにかし、親族や友だちも手伝い、それでもだめな人間だけが国がなんとかする、といった方針にならざるを得なくなります。しかし困った人間を助ける,助けないは国が判断することですから、最終的にはそういった人間を見捨てるべく失業保険などの申請を拒否したり滞納する税金を無理矢理徴収すればよいことになります。つまり自助とは、国は国民を見捨てる、といってるにも等しい考え方に思えるのです。
新型コロナウイルスの猛威が当面治まらない以上、その間の生活を国が保証するのは当たり前に思えます。携帯電話の料金が安くなるより、生活そのもののコストが安くなることが望ましいのですし、コストが上がってもそれ以上に収入が上がることが大切です。となると、まずは公助によって働く先を確保し、働き先が見つからない人の生活を保障し、様々な規制緩和で企業活動を活性化させ、その上で最終的に税収によって収支を安定させる。これが本来の国の経済政策の姿のはずです。しかし今回の政権はその基本である公助を最終手段としているのですから、先行きが非常に不安になります。
すべての詐欺は、まずは口当たりの良いだましから始まります。今回の政権が掲げる施策が、その口当たりの良いだましでないことを、今後慎重に見極める必要があると私は考えています。