いよいよ5月のゴールデンウィーク突入です。
とはいえゴールデンウィーク前まで新人研修をしていましたが、途中でカゼをひいてしまいました。このところ暖かかったり寒かったりで、温度調整機能の低い老人にはちょっとつらい日々でしたので、途端にカゼです。新型コロナウイルスを警戒しマスクで外出、帰宅時には手洗いとうがいをきちんとしていたのですが、それでも風邪をひくのが年令なのでしょうね。調子の悪いまま先週を過ごし、連休に入ってからはほぼ何もできず寝込んでいます。熱が37度台という最悪の微熱が続いており、高温になれば治るはずのカゼもグズグズ続きます。家内は半袖で過ごしているのに、こちらは寒気からヒートテックとセータのお世話であり、秋口の日本人と欧米人のような姿になっています。
さて今年も新人研修が一段落し、今週松で完了します。いろいろな企業の新人さんとお会いしましたが、今年もよい子が多かったように思います。もう自分の子供たちより遙かに下の年令を見るため感覚が狂っているのかもしれませんが、新型コロナの影響下からの特性がまた変わってしまったように感じました。
この数年の傾向ですが、非常に素直な若者が多い反面、正解思考の暗記型教育の弊害から思考力が極端に劣ってしまっているのは例年同様でした。しかし新型コロナの影響を受けているのか、こちらがオンラインセミナーになれたのかはわかりませんが、若者の研修の取り組み方や態勢が変わったように今年は感じました。
まずはオンラインセミナーなれです。一昨年度末から新型コロナウイルスが蔓延し、昨年一年は多くの学校がオンライン授業を実施たと思います。それまではキャンパスや教室に集まって受けていた授業をオンラインで受けるようになり、彼らの受講態度や取り組み姿勢も変わったように思います。よい面としては非常になれていることであり、画面に向かった反応もよく、顔出しで受講しても臆さないのは素晴らしいと思いました。こちらの話に反応があるのはやはり話しやすいですし、笑顔が出れば講師の気持ちも盛り上がります。さらにグループワークでの発言も均等であり、対面型の授業ではない闊達さで討議が行われている感じを受けます。
対面型でグループワークを行う場合、相手の雰囲気や精神性、性格が強く伝わります。眼力が強く体の大きな人間が積極的にはなせば、それに気圧されて話せなくなる方多いと思います。神経質で無口そうな人間に話しかけにくいでしょうし、小さい声ではなせば聞いてくれないといったことも起きるでしょう。しかしオンライン授業では基本単方向のコミュニケーションであり、同時双方向は滅多に発生しません。となると声が小さい発言でも皆耳を傾けますし、発言がしやすくなる側面が生まれるように思います。全員の意見が発言された後個別の討議が起きますし、司会役になった人間が全員に発言を求めたりします。結果として全員の意見が均等に反映されるような感じを受けました。
しかしながら今年特に感じたのは、退屈を隠せない受講者です。オンライン研修で会っても業務ですので、退屈はほんらい我慢すべきですし、緊張感から感じない受講者も多いはずです。しかしながら長時間の画面視聴になれて折らず、展開の早い数分の画像ばかりを見ているせいか、10分ほどで緊張を切らしあきらかに退屈を感じている受講者が増えたように思います。
数年前から指摘されていますが、現代の若者の集中力は10分程度といわれています。映画やドラマでしょっぱなからクライマックスのような派手なシーンが来るのは、彼らの集中力があるうちに興味を引きつけないと視聴が中止されてしまうため、といわれています。それでも企業研修は業務なので、というのは対面の時代の話であり、画面を通して視聴すれば、彼らにとって研修はコンテンツの一つに過ぎません。同じパワーポイントの画面が出ていても飽きますし、講師の顔でもつまらなくなってします。しかし顔出しの集合研修だから画面を変えることもカメラを切ることもできない、というのが彼らの感覚のようです。 その結果として、アンケートには展開の遅さや話の長さを指摘されるケースが増えましたし、演習などの自立的作業を要求するケースが増えたように思います。
もう一つ感じたことは、打たれ弱さです。おそらく優等生で来た彼らは、自分の思考や意見に対して批判や指摘を受けることがほとんどなかったように思います。確かに教える側からすると、強い指摘でパワハラをしてきされるより、間違っていたり意味が通らなくても、「一つの意見ですね」のながせが楽です。しかし彼らにとってはそれが自己正当化につながってしまうようです。となるとこちらが指摘すると、反論するのではなくただ傷ついてしまい、結果として自分とはあわない、で済ましてしまうようです。
10年程前から仲間内では、理不尽.comというセミナーが必要になるのでは、と冗談を言っていました。つまり社会の理不尽さを感じる前に、研修で理不尽を体験することも必要ではと思っていました。現場や客は理不尽と思われることが多く、知識や経験がなければなおさら理不尽を感じることは当然と思います。しかしそこにダイレクトにいれらた現代の若者にとって、それは自分の否定であり居場所の喪失につながります。結果として早期に退職してしまったり、心を病んでしまうといったことが起きがちなのでは、と感じざるを得ません。
理不尽な環境をなくすことが一番大切なのは理解していますが、それでも若者が理不尽さに対する耐性を高めないと、せっかく企業に迎え入れた優秀な人材が、能力を発揮する前に退職したり壊れてしまったりしないか、私にとっては不安のつきない四月となりました。