いよいよ東京も梅雨に入りました。今年は記録的に早く梅雨入りしそうな雰囲気でしたが、東京は例年より遅い梅雨入りになりました。夏の水不足を防ぐためには十分な降雨を期待したいですが、気持ちの上では一日も早い梅雨明けを待ちたくなります。
さて全国各地で出されていた緊急事態宣言ですが、沖縄をのぞいて解除される方針となりました。政府としてはオリンピック前に新型コロナウイルスの感染を封じ込めたと世界にアピールするのが目的なのでしょうが、それが吉と出るか凶と出るかは7月にわかります。もちろん多くの方同様、私も凶と出ると踏んでいますし、増加し逼迫する医療体制の中で、政府と東京都がどのような欺瞞と言い訳の中で開催を維持するのかを興味深く見守りたいと思います。もちろん競技を終えた選手は秘密裏に街中に繰り出すでしょうから、選手村がクラスター化することは目に見えていると思います。逼迫する医療体制の中で海外の要人を優先して対応すれば国民は黙っていないでしょうし、かといって掘っておいては国際社会で非難の的となります。都合のいいことばかり並べてきた政府がどのような対応をするのか、積極的な容認をした都知事がどのような言い訳をするのかは、本当に見物となってきました。
全国のワクチン接種もやっと軌道に乗り、少しずつ接種者が増えていることはうれしい限りです。とはいえ基礎疾患の多い私は神奈川県に住んでいるため、接種券すら受け取っていない状況です。おそらく今月末頃に発送が始まると言われているので、来月には予約が取れればいいなぁと思っていますが、その前に罹患してこの世を去ることもあり得ると思っています。仕事に未練はないものの、孫の成長が見られないのは本当に悔しい限りですが、これまで十二分に楽しんできたので諦めはつきそうです。
新型コロナウイルスの感染前から、正確に言うと2000年頃の電機業界を取り巻くバブルとその崩壊の後から、日本の経済は本当に振るいません。バブル崩壊後高級品が売れなくなるだけでなく、経済の衰退とともにデフレが進行し、働く人間の所得が増えない状況になっています。一部上場企業の管理職でも1000万円前後の賃金ですし、中高生の子供が二人いると経済的な余裕はほとんどないように思います。ましてや中小企業も考えると年収600万前後の世帯が多いでしょうから、老後も考えて経済的に余裕がある人間は本当に一握りのように思います。
米国のコンサルティング会社によると、2019年度で米国の初任給が600万円前後、ドイツが500万円前後のようです。スイスの初任給は800万円前後と破格ですが、先進国では初任給でもこれだけの額をもらっているのが事実のようです。これに対して日本は250万円前後と、世界の半額程度になります。昇給率も世界に比べて低いのは事実ですから、世界とこれだけの賃金格差があります。先進国の物価は日本に比較して高いですが、所得がそれ以上に多いのですから問題はありません。むしろ物価が安くても所得が低ければ生活は苦しいですし、この状況を変えない限り日本が再生することは難しいでしょう。
日本の給料が安かったのは、終身雇用という前提があったためです。さらに社宅や補助、さまざまな低利の貸付や手当があったため、賃金が安くても安定した生活ができました。しかしバブル崩壊後終身雇用という制度は事実上崩壊していますし、こういった制度はどんどん廃止されています。労働者の解雇ができるよう労働基準法を変えようとする若手の経営者も増えていますから、働く人間の権利や収入はこれまでのように保証されているわけではありません。
それではなぜこのような事態が発生したかを考えてみると、やはり企業経営者が自らに都合のよい部分しか改革を行わない点が上げられます。いつものごとく団塊の世代批判になりますが、現在大手企業のトップを占める団塊の世代は、健康保険や年金制度のように数の論理で仕組みを作り上げ自らの世代だけが有利になるように仕向けました。企業内の退職金や様々な手当も、上の世代より下の世代が数多く入ってくるとベースで作られています。団塊の世代は戦争で上の世代が極端に少なかったので、次々に人を増やしても自分と同世代の人数が増えることがなく、下の世代がどんどん増えていきました。彼らか薄く剥ぎ取ったお金を上の世代に回せば、上の世代は安定的な収入が得られました。(ネズミ講と一緒です。)
しかしバブル崩壊後は上の世代より下の世代の人間が少なくなることも多くなったため、上に回すべきお金がなくなります。となると、結果として下の世代は剥ぎ取られるだけであり、将来にわたってさらに下の世代が上の世代に十分なお金を回せなくなります。多くの企業がこの不公平を是正することなく、賃金以外の様々な特典を廃止しながら賃金を抑えてきました。働く先がないという恐怖から不公平があっても企業に入りますし、その仕組みが変わっていないため搾取構造がどんどんひどくなっている、というのが今の日本の状況です。
となると、この状況を変えるためにはまずは抜本的に売り上げを上げる方法を考えなければなりませんし、同時に賃金や処遇のあり方を再設計する必要が企業に生じます。しかし多くの企業の管理者は制度構築をしたことないため、従来の方法を踏襲するしかありません。
こういった企業全体のありかたをイノベーションによって変革する。これが若者の使命です。さらにそういった熱意と知識、能力をもった人材を育成するのが、学校に使命です。しかしその使命を全うしようとする中堅が出現しないため、日本は沈没以外の道がなくなっています。
私ができる辻舌鋒、いつまで続けられるかわかりません。しかし老頭児となったいまだからこそ、さまざまなしがらみから離れてそういった若者を育成することに専念したいと、私の中の燃え残りが私に訴えかけます。