先週の土曜日、熱海で土石流が発生しました。
梅雨の終わりの豪雨が続き、関東甲信越には記録的な雨量となりました。海と山が近い伊豆半島はもともと降雨量が多いのですが、今回は3日間で例年の1か月分の雨量が降ったため、地盤が緩んでしまったようです。被害に遭われた方は本当にお気の毒ですし、一分でも早く行方不明者が発見されることを心から願っています。
今回の土石流の原因ですが、山腹の開発現場が問題と言われ始めています。googleマップで見ても、土石流の発生現場には森林を切り開いた部分が二カ所あります。一つは住宅地、一つはソーラーパネルの設置場所のようですが、これらが崩落した可能性は極めて高いと思われます。
熱海と私の住んでいる東伊豆町はそれほど距離がありませんし、伊豆半島ですから同じような地形です。海潜亭もそうですが、こういった山間部には一般の住宅地では考えられないほどの急斜面に家が作られています。いったん土砂崩れが起きれば下の家屋を巻き込みながら被害を大きくしてしまう地形といえます。ここで降る大量の雨水は土にしみこむだけでなく、限界を迎えて谷を流れます。そのときに表土を削れば、確実に土石流になると思われます。木々あればまだ保水力はありますし、枝葉も雨を蓄えますから地表に急激に水がたまることはありません。しかし今回のような開発現場ではそのまま水が流れ込みますし、根っこによって保水できない水が流れ落ちることを防げません。となると、今回のような土石流が起きることは避けられませんし、今後も起きる可能性は高いでしょう。
伊豆界隈もソーラパネルの設置場所が増えています。耕作放棄された田畑の跡地にソーラパネルが林立することは当たり前の風景になっていますし、山林を切り開いてパネルをしくケースも増えています。こういった業者はその後の環境を考えていませんから、山の状況が急激に変わってしまいます。結果として今回のような土石流が今後また発生することも、、伊豆半島では避けられないように思います。
また数年前の台風時にも思いますが、台風が向かっている方向である西伊豆は比較的災害に対する対策が積極的にうたれているように思いますが、東伊豆は相対的に対策が弱いように感じます。私がこちらに居を構えてからだけでも、私の近所の数カ所で大規模な崩落が起きていますし、その都度135号線が止まってしまいます。山腹を走っている旧道は数ヶ月封鎖ということもありますから、やはり伊豆半島の東側の災害対策は十分ではないと感じてしまいます。
近年の地球温暖化により、梅雨の雨の性質も大きく変わったように思います。昔の梅雨は長期にわたってしとしとですが、最近の梅雨は熱帯のスコールのように猛烈に降る時間と、晴れ間の出る時間がはっきり分かれているように感じます。そのため短期的に降雨量が多くなり、山が保水できなくなるほど水がたまるように思います。さらに山腹の保水のためには森林が必要ですが、別荘地需要が薄れた現在はソーラーパネル設置によって広範囲の森林が切り開かれています。特に日当たりがよく陰にならない山の山頂付近で開発が進むため、こういった土砂崩れのリスクは高まります。
このようにソーラー発電のような利害を目的とした開発によって、これまで守られてきた山間部の環境も急速に変わっています。さらに地球温暖化によって、四季の気象環境も大きく変わろうとしています。だからこそこれからの時代に合わせた治水整備が求められますし、法律の改正によって利益優先の土地開発を防いでいかなければなりません。