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Weekly report

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 September Fourth week

 中国の恒大集団が巨額の負債を抱えて、デフォルトを起こしそうです。

 恒大集団は、中国有数の大手ゼネコンのようです。設立は1996年と比較的新しく、中国の住宅制度の改定の波に乗り大きく成長してきたようです。その手法は完全に日本のバブルと同じであり、自社株を担保とした借入と成長を見込んだ投資資金により、都市化される土地を早期に安価で買収します。その土地は都市化とともに急速に価格が高騰するため自社の資産価値が上がり、さらに建物を乗せて売却することで大きな売却益も得られる、というのがその経営手法です。まさにバブルの仕組みを駆使して、設立から20年あまりで総資産7500億円もの企業に成長してきたようです。しかし昨年中国政府が過激な土地高騰化を沈静させるべく融資を制限したため、バブルのサイクルが止まってしまったようです。

 ご存じのように日本でもバブル経済が発生しましたが、その勝者はほとんどいなかったというのが多くの結末です。借り入れたお金を元に土地を買い、その土地の急騰中に建物を乗せて売却する、というのがバブルの仕組みですが、問題は一時的であっても膨大な土地を所有してしまう点です。すなわち一億円で購入した土地を担保に1億円を借り入れ、そのお金でその土地にビルを建てて3億円で売却すれば、1億円の利益が残るというのがバブルの仕組みです。しかし一億円で購入した土地を担保に借り入れを行った直後に土地の価格が下がれば、1億円で建物を建てて販売しても土地代の値下がり分があるので3億円では売れません。土地が半額の5千万円になれば、一億円の建物を乗せても不動産の価値そのものが下がりますから、2億円程度でしか売れない可能性があります。となれば、1億円の借金を返すと、1億円しか残らず利益は全く出ないことになります。もっと恐ろしいのは、今後建設に着手しようと10億円の土地を借金で購入していると、実際は半額の5億円でしか売れなければ損失が5億円になります。土地が多く、建設途中で建築費を支払っていると...というぐあいに、土地の価格が上がらなくなった瞬間バブルは崩壊します。

 恒大集団は、今年の夏時点で35兆円の負債を抱えており、バブルのサイクルが止まった以上これらの価値が半減する可能性が出てきています。となると、多くの借り入れは返済不能になり投資や貸し付けたお金が消えてしまうことになります。この9月に90億円超の借り入れの利息支払いが迫っているようですが、それが難しくなっているというのがデフォルト(債務不履行)ということになります。

 今から13年前、米国のリーマンブラザースが高リスクの住宅再建を組み合わせたサブプライムローンで大きな損失を生み、結果として破綻しました。日本の財務大臣は日本の金融機関はサブプライムローン二手を出していないから経済に影響はない、と高をくくっていましたが、結果として数ヶ月で大きな経済不況に陥りました。金融の世界がグローバル化し、お金は高い利息を求めて世界を巡っています。中国への投資は大きくないため世界には影響しない、という見方もありますが、世界でお金が循環している以上今回の恒大集団のデフォルトも、世界に波及しない保証はありません。

 現在新型コロナウイルスの影響と旧態依然としたビジネスをDX化できない日本企業によって、日本の経済は青息吐息の状態です。今回の恒大集団のデフォルトが恒大ショックとして世界に波及し、日本経済がさらに混迷を深めることを、なんとしても止めなければなりません。しかし日本政府は機能停止中であり、政党党首の選出という田舎の学校の学級委員長選出よりも価値のない行事に翻弄されていることを我々は忘れてはなりません。