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Weekly report

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 July Fourth week

 新型コロナウイルス・第7波の感染拡大が止まりません。

 先週金曜日の東京の感染者は3万5000人あまりと過去最高になり、全国でも20万人弱の感染者が発生しました。この勢いは止まりそうもありませんし、各県での感染者数は過去最高を記録しています。統計的には、8月中旬に東京の感染者数は5万人を超える事態になる可能性も高いと思われます。

 毎度申し上げるとおり、増加する感染者に対して医療機関はキャパシティを超えてしまいます。この二年、政府は基本的に病院の自主的な対応頼みになっており、本格的な施策を打たず十分な支援も行っていません。さらに感染拡大防止は国民に委ねられており、各国のような強い指導力や方針を持った対応をしていません。今回は経済を優先するという名目で、行動制限や非常事態宣言を出しません。結果として、祝祭日や休日の国民の観光やレジャーの移動は続いており、各地で感染者数を更新しています。沖縄は医療逼迫の状況でいつ破綻が訪れてもおかしくありませんが、それでも観光客は増加しています。

 夏休みのレジャーで経済を活性化させるといっても、抜本的な対策にはなりません。また沖縄県では、この二年の観光客の激減により観光産業に従事する人材が他産業に流出してしまい、急増する観光需要に対応出来なくなっています。お土産品の生産やレジャー関連の人材が不足していますし、ホテルや宿泊施設のスタッフも十分ではありません。

 また世界的な半導体を中心とした部品不足で、日本の自動車産業の長納期化がさらに進んでいるようです。車種によっては現在予約しても4年待ちの状況になっており、それが短縮する兆しは見えません。それどころか、減産による受注制限まで発生しており、各産業が活性化するブレーキになってしまっています。

 依然伊豆の観光業でご説明したとおり、産業全体が低調になるとそこに従事する人間が不要になります。明確な経済回復が予測できるのであれば一時帰休等で労働力をコントロールできますが、長期になるとその産業を離れて人材需要のある産業に人材が流出してしまいます。経済が復活し産業が盛り返そうとしても、今度はそこに従事する人材を確保できませんから、その産業は取り残され、最悪破綻が進みます。これが今日本のさまざまな産業で発生している現状なのです。

 こういった状態を回避し、経済回復とともに各産業を活性化させるためには、国の積極的な施策が必要となります。一時帰休に対する補助金を出して人材の流出を図ったり、隣接産業に業態を拡大することでそちらに人材を配置転換することなどが考えられます。また職を失った人間に対し、今後有望な産業に従事できるよう職業訓練機会を提供し、産業が復活すれば元の産業に、産業が復活しなければ習得した技術を活かした新しい産業への転換を推進すべきです。さらに労働賃金が安価な職は自動化やAI化を積極的に進めて、不足する高度能力を持った職に人材を誘導していくべきでしょう。

 また若者の車離れは、自動車整備産業から人材を流出させてしまっています。こういった業界に支援策を講じ、より高い賃金でそれらの職に魅力を持たせるべきです。そうであればそこに従事しようとする若者が増えますし、技術力で長く確実に収入を得ることが可能になります。

 要は政治家と官僚が、真剣に日本を考えて施策を講じることが大事ですし、各省庁の利権をなくしフラットな施策を講じられるようにすべきなのです。こういったことを考え実行できる若者を育てるために、大学の政治学科は積極的な教育を行うべきですし、政界や官庁に対するインターンを増やしてそういった心ある若い人材を育成すべきです。

 斜陽の日本を変えることができるのは、若い頭と労働力です。だからこそ我々大人は、そういった若者の出現を期待できるようすべての仕組みを変える努力をしなければなりません。