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Weekly report

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 October Fifth week

  Amazonがまた仕掛けてくるようです。先週発表になったのは、Amazonが調剤薬局に進出するということです。

 ことのはじまりは、来年1月から電子処方箋制度が実施されることになったことです。電子処方箋制度とは、これまで医者や病院の診察によって発行される処方箋を電子化し、国の提供する電子処方箋管理サービスを経由して調剤薬局が薬を患者に提供する仕組みです。これにより医者や病院は処方箋発行の手間が軽減されますし、薬局は処方箋管理などの事務作業が軽減されます。さらにこれまで薬局がお薬手帳などを利用して行ってきた薬の重複投与の管理も軽減されるため、薬局のメリットが高まります。患者も薬局で待たされたりする手間がなくなりますし、窓口で症状の確認によって他社に病状を知られることがなくなります。

 昔は医者や病院の中で薬が提供されていましたが、医薬分離ということで調剤部分が医者や病院から切り離され外部に設置されるようになりました。どこの診療所や病院でもその付近に調剤薬局がありますし、医者や病院から提供された処方箋をもって薬をもらうことになります。調剤薬局は医者のそばに設置すれば確実に収入が上がりますし、ある意味安定的なビジネスといえました。

 しかし今回Amazonが調剤薬局に進出することで、現在の調剤薬局のビジネスモデルが壊れる事になります。調剤薬局にとって安定的な収入が上がるのは、老人や生活習慣病の患者だと思います。私も常時10種類以上の薬を飲んでいますが、毎月医者に赴き診察を受ける必要があります。その後薬局で薬を受け取りますが、基本的に症状が劇的に改善しない限り薬の投与は続きます。さらに加齢とともに症状が進むことは多いですし、関連する疾患も増えます。となると、毎月安定的に調剤薬局は収入を得ることが可能になります。

 風邪等で薬をもらうとしても、通常は1週間程度でしょうし突発的です。それに対して老人や生活習慣病は数年から数十年の期間薬を飲み続けなければなりませんし、種類も非常に多いです。となると、調剤薬局はやはり安定的な収入を得ることが可能になります。

 ところがAmazonが進出することで、特に生活習慣病患者である中高年層には利便性が上がります。薬局での待ち時間や手続きを考えますと、宅配で配達されることは非常に便利です。薬が切れたときなどの緊急時は直接調剤薬局に足を運べばいいので、宅配になってもメリットはあってもデメリットはありません。

 となると現状の調剤薬局は、今後短期間に安定的な収入を失うことになります。Amazonが成功すれば確実に他の大手ドラッグストアも参入するでしょうし、個人の調剤薬局はますます収入が減ります。電子カルテの仕組みが理解しにくい高齢者や従来通りの方法をとるかもしれませんが、家族が同行しなければならないような高齢者は家族が手間を減らすために宅配サービスを選ぶでしょう。同時に年寄りは自然減しますから、調剤薬局ビジネスに未来はないように思われます。

 このような状況を考えると、今後は調剤薬局も書店のように激減することは間違いないように思います。こうした電子化は個々人にはメリットをもたらしますが、従来型の小さいビジネスはチャンスを失っていくことを我々は忘れてはいけませんし、次はどの業界に何が訪れるかを考え続けなければなりません。