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Weekly report

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 Nobember Fourth week

 11月最終週となりました。そろそろ晩秋から冬のはずですが、まだまだ暖かい小春日和の日々が続き体が寒さに対応していないように思います。来週から急に冬の温度に下がりそうですので、風邪などに注意が必要な時期になってきました。

 さて前橋市が介護事業の効率化のため、ITを使った実証実験を行っているようです。最近では日常的に見返るようになりましたが、高齢者がデイサービスなどの介護サービスを受けるため、多くの送迎バスが巡回しています。指定の曜日に要介護者を迎え入れ施設に運び、サービス終了後自宅に送るというサービスです。高齢者の増加とともにデイサービス利用者が増えており、送迎スタッフの不足と負担増が各地で問題になっているようです。特に配車についての手間が非常にかかり、労力を必要とする割に効率が悪く、デイサービス全体の回転率を下げるだけでなくスタッフの負担が増していたようです。

 デイサービスを希望する高齢者は、週1〜2回程度定期的に送迎をうけて介護施設と往復します。しかし高齢者ですから、当日体調を崩しキャンセルが発生することもよくあります。前日に連絡があるだけでなく当日の連絡もありますから、巡回ルートに大きな変更が発生します。一つのバスの定員は決まっていますから、キャンセルが多いとルートが複雑に変わってしまいますし、輸送効率も落ちてしまいます。ルートの編成や運転手へのルート指示、車椅子が必要などの諸条件を整えるのは非常に手間がかかりますし、運転手や介護者の負担も大きくなります。

 そこで前橋市はIT化を進め、アプリケーションを使ってルート編成を行うようにしたようです。通常は所定のルートで要介護者の自宅を回りますが、キャンセルなどがある場合は新たなルートを自動作成し、運転手のタブレット宛てに送信します。そこにはルートだけでなく送迎時の注意点等も記されているため、介護者も効率よく送迎ができるようになりますし、問題も発生しにくくなります。これによってサービスの回転率は上がりますし、介護施設の負担も軽減できます。このような問題は全国で発生していますから、いったんシステムを開発してしまえばあとはクラウドサービス化し、他の自治体にも提供出来るようになりますし、開発主体の前橋市の運用コストが下がるだけでなく利用料というという形で収益をあげることが可能になります。

 こういったさまざまなサービスレベルを高める仕組みは、日本のみならず世界でも求められています。となれば、様々な業種でこういったアイディアをシステム化しクラウドで公開すれば、日本企業に大きな収益をもたらすことになるのです。

 ところがこれを一つの自治体だけで開発するとなると、そのコストをどう負担するのか、運用コストはどうやって回収していくかなどさまざまな問題が発生し、結局はシステム化ができないことになってしまいます。サービスの可能性として大きくても、他のサービスとの競争状況を考えると小規模な開発では利益が出にくいですから、SIerも手を出しにくい案件になるでしょう。

 こういった問題を解決するために、大手のSIerがもっと営業体制を強化すべきではないかと私は考えてしまいます。一つ一つの自治体では開発が難しくても、複数の自治体が乗りあるのであればシステム化ができる案件はたくさんあると思いますし、クラウドで提供するのであればさまざまな負荷は低減できます。となれば一つのアイディアを多くの自治体に営業展開し、ある程度の規模がそろった段階でサービスを開始すれば、自治体、SIer双方にメリットのあるサービスを開始できます。同時にそういった営業網があるのであれば、中小企業間でもそういった取り組みができるようになりますし、世界をも視野に入れた新しいサービスを生み出すことが可能になります。

 小さい案件は発注者にも提供者にもメリットがないからこそ、アイディアが埋没してしまいます。となれば提供者たるSIerが明日を意識し,こういったサービスを展開すべきではないかと私は考えてしまいます。