GYAOがすべてのサービスから撤退することを発表しました。
もともとはUSENのGYAOとヤフー動画が統合されて始まったサービスですが、開始から14年ほどでサービスに幕が引かれました。若者の視聴環境が変化したことから、LINEの提供するLINE
VOOMに経営資源を集中させることになり、サービスを終了させることを決定したようです。
後継のLINE VOOMをみると、縦型動画の配信サービスであることが分かります。これまではYoutube同様横型の動画配信が多かったように思いますが、最近の若者はスマホで視聴を行い、画像を撮る際も縦に撮るケースが増えていることからこのサービスにシフトしたのでしょう。さらにGYAOが提供するような長時間の動画は若者のニーズに合わないため、短時間の画像が多いLINE VOOMに移行したように思います。
最近は映画のまとめサイトも数多く存在するようですが、数分の画像も長いと若者は思うようです。刺激のある画像を次々と視聴するのが一般的であり、2時間の映画は集中力が必要となるため、短い画像になれている若者は飽きてしまうようです。日大の芸術学部の教授が嘆いていましたが、芸術学部の学生にロード・オブ・ザ・リングを見せても、展開が遅いと言うことで最初の5分で飽きてしまうそうです。三部作の一作目でも180分、三作合計で560分(9時間半)ほどの映画なので、最初の5分にめざましい展開はあるわけがありませんが、これに耐えられないようです。もちろんハリウッドはその状況を重視し、最初の5分に一度目の大きな盛り上がりを作ることが普通になっています。
これまで映画やテレビのような画面は、横長が一般的でした。広い視野の中に多くの情報を埋め込み、視聴者に没入感を与えるというのがこれらのメディアの特徴でした。エジソンが考えた画像サイズは4:3であり、ブラウン管型のテレビはこの規格で作られていました。映画は1.66:1のビスタビジョンが一般的でしたが、その後にシネマスコープのような2.35:1やシネラマのような2.88:1といった幅広の画面が次々と登場し、映画のスクリーンの大きさと画面の広さで没入感を増してきたように思います。テレビもデジタル化とともにワイドが標準となり1.78:1の広さへ変化してきました。
しかし若者の視聴環境がスマホに変化する中で、ワイドの意味合いが変わってきます。どんなに画面を広くしても、画面サイズが小さいのでは意味がなくなります。さらに若者からすると、持ちにくい横型よりも縦型の画像の方が楽しめるでしょうし、短い時間の動画のほうが視聴しやすいでしょう。バズるのはストーリーではなくシーンですから、この流れは止められないのかもしれません。
映画は光の芸術であり、さまざまな技術や工夫が新しい映画作りに活かされてきました。しかしながら映画が無くなることはないとしても、縦型という新しい動画作りのアイディアもこれから生まれていくことは間違いないようです。その世界がどのように広がり、どのような新しい動画が生まれてくるか、しばらく興味をもって眺めてみたいと思います。