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Weekly report

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 January Fifth week

 先週は10年に一度といわれるような強い寒波が、日本全体を覆いました。

 影響が大きかった関西では、JR京都線や琵琶湖線で電車が立ち往生し、10時間以上の遅れを生じる結果となりました。原因はポイントが積雪で凍り付いて動かなくなったためであり、設置してある融雪器を作動しておけば避けられる障害でした。

 JR西日本では、10cmを超える降雪量となった場合融雪器を作動する規定になっていたようです。しかし当日は積雪量が8cmと予報されていたため、本社では融雪器の作動は不要と判断してしまったようです。現実には夕刻に15cm以上の積雪があり、今回の立ち往生につながってしまいました。さらに1時間を超える停車の場合は乗客を降車させる規定になっていましたが、ポイントの復旧を優先したこと、ならびに夜間の足下の悪い中で乗客を歩かせることを逡巡したこと、一度乗客が降りてしまうと運転再開までに3〜4時間の時間がかかることを恐れて降車させなかったようです。結果として多くの乗客が満員に近い車両に長時間閉じ込められましたし、体調を崩す乗客も発生してしまいました。

 10年以上前に発生した福知山線の事故もそうでしたが、JR西日本のお役所体質は相当にひどいようで、乗客のためや安全のためでなく、社内の評価のために業務が行われているようです。規定の時刻を守れなくなることを恐れた運転手が速度超過でカーブを走り、曲がりきれなかったことで発生したのが福知山線の事故です。これも遅延責任を運転手に押しつけ厳罰を与える社内の風土が、多くの人命を失わせる結果となったものでした。

 今回も顧客優先で考えれば、融雪器を利用することぐらい何の問題もないはずです。対策を講じて何も起きない、あるいは不要であれば、それはラッキーだったと考えるべきなのに、ムダとして厳罰を与える社内風土が今回の問題を引き起こしています。さらに遅延の厳罰を恐れるがあまりポイントの復旧を優先したこともそうですし、乗客を歩かせて怪我等が発生した場合の責任問題、運転再開までの遅延の責任問題など全員が責任を回避する行動をとったことが今回の問題につながっています。

 昔の企業は、責任追及と厳罰によって問題発生を防ごうとする風土が強くありました。原因は人の問題と決めつけ、ルールを守れない人間に処罰を与えることで業務の信頼性を高めるというのが、昔の考えでした。しかしそういった精神主義では問題は解決しませんし、再発も防止できません。大事なことは顧客満足を満たすために個々人が何をすべきですし、満足につながるのであれば個々人の自由度を認めるべきです。スターバックスのように顧客が喜ぶことを行う、ということがルールにならなければ、真の意味で世界で戦える企業とはいえないでしょう。

 JR西日本がその体質を変えるまで、こういった事故やトラブルは続きます。しかしそれはJR西日本だけの問題ではなく、それを自らのこととして気づかないすべての日本企業の問題のように私には思えます。