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Weekly report

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 March Fourth week

 ワールド・ベースボール・クラッシックの決勝で、日本が優勝しました。

 日本で行われた4戦はすべて勝利で飾った日本ですが、準決勝のメキシコ戦は劣勢の中最終回に逆転し、不利な状況から見事に決勝に進出しました。劣勢を跳ね貸した大谷選手のヒットや、、最終ランナーとして大谷選手の直後を走り抜いた周東選手、不調であっても連続で出場し続け見事に決勝ヒットを打った村上選手、そしてになによりそれまで不調だった村上選手を根気よく使い続けた栗山監督の采配がドラマのように展開された準決勝でした。

 決勝は好調な米国との一騎打ちになりましたが、息詰まる投手戦を見事に制した日本が優勝を決めました。アニメの筋書き以上の試合であり、最終回の最終バッターに米国を代表するスラッガーのトラウト選手、対するリリーフはユニフォームの汚れた大谷選手の一騎打ちとなりました。結果は大谷選手の豪速変化球で空振り三振による優勝で、これ以上の筋書きが考えられない試合となりました。日本の代表選手、コーチや監督、関係者の努力でつかみ取った優勝であり、日本人として誇らしい結果となったのは嬉しい限りです。

 昔の日米野球は、シーズンオフに米国の有名選手が観光を兼ねて日本に訪れ、日本のオールスターや優勝球団と戦うものでした。シーズンオフの物見遊山で訪れた選手を相手に日本の有名選手が挑みましたが、毎回足下にも及ばない結果が続きました。見ているこちらも、米国選手のパワーと技術に圧倒され、日本と米国の差をつくづく感じたものです。

 ところが今回のワールド・ベースボール・クラッシックでは、まさに日本の野球選手の意識の違いと強くなった理由を見せつけられた気がしました。今回チームをまとめていたのは年長のダルビッシュ選手でしたが、彼が若い日本選手の緊張をほぐすだけでなく、常に楽しむことを伝えていたのは本当に印象的でした。日本を背負って命がけで戦うのは昔の選手の考え方であり、世界の晴れ舞台を楽しもうとする姿勢は、本当にすばらしいと思います。逆に楽しもうとするからこそ真剣に取り組みますし、結果が出なくても改善のヒントを見つけることができます。できなかったことができるようになるのは楽しいですし、さらに結果がでればそれに越したことはありません。そういった「楽しむ」という意識で世界と戦えるマインドが、本当にすばらしいと思いました。

 同様のマインドが我々のビジネスの世界にあるか、というと、やはり疑問が残ります。自分の苦労や経験を目下の人間に強要しようとするベテランは少なくありませんし、世界で戦うことの楽しさを伝えられるベテランも、多くは内容に思います。ましてやそういったベテランを活用しようとしたり、そのベテランを受け入れる企業や職場環境も日本には多くは存在しない気がします。

 私が若い頃は、「世界と戦う」が日本のマインドでした。「世界のビジネス」対「日本のビジネス」の勝負であり、そこに悲壮感が常に漂いました。しかし現在は、「世界で戦う」時代です。日本は世界の一つであり、すべての世界の国々と平等に戦っていかなければなりませんし、勝ち残らなければなりません。そういった動きを生み出すことが、監督の立場となった我々しらけ世代の老頭児でしょうし、その意識をかえることが日本をかえるキッカケになるのではと思わざるを得ないと私は考えています。