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日本のソフトウェア産業がいつまでもダメな理由  (5/6/2008) 

 久手堅憲之  技術評論社  \1,380

 ITという言葉の影で、相変わらず変われていないソフトウェア産業を考察した本でしたのでご紹介です。

 ソフトウェア産業を取り巻く問題を、ソフトウェア企業、技術者、ソフトウェア業界、ユーザ企業のそれぞれの面から論じています。ソフトウェア企業の問題点としては評価制度やキャリアプラン、建前とホンネの違い、技術者育成への意識の低さなどを上げています。技術者の問題としては、ぬるま湯につかった仕事ぶり、海外の事情を知らず国内だけで考える視野の狭さなどを上げています。ソフトウェア業界はプロジェクト管理能力の低さい、国際化へのおくれを挙げていますし、ユーザ企業としては目的意識の低さやITに対する理解不足、安易なコスト削減などを挙げています。

 すべての事象はまったくそのとおりなのですが、その解決に対する提言が少ない点はちょっともの足りませんでした。こういった閉塞的状況を打開するために、業界や企業、ユーザはどうすべきかという論調があまりつよくなく、単なる考察で終わってしまった点が残念です。またこういった状況のためIT技術者が企業から流出するというのは理解できるのですが、独立を選択肢としている点など、疑問が残る提言も散見されました。とはいえ、ダメだということを認めなければ、再生はあり得ません。となると、どのぐらいダメかという評価の基準や切り口を知ることは意味のあることですし、その意味でこの本は参考になると思います。

 日本のIT業界の没落度と、再生へ向かった自己認識をしたい方に。

 

ランチは儲からない飲み放題は儲かる  (4/20/2008) 

 江間正和  講談社  \1,400

 いわゆる経営分析本ですが、ちょっと面白かったのでご紹介です。

 「スタバではグランデを買え!」のように、企業の利益の仕組みについて説明した本は多いのですが、この本もその手の一冊になります。ただしこの著者が変わっているのは、銀行員経由のお店のオーナーで、かつ飲食店コンサルタントであることでしょう。

 この手の本はいわゆる会計士など外野の目で分析した本や、現役たたき上げのショップオーナーの本が多いため、あるいみ分析だけに終始する、精神論や偏った見方が入ると言ったことが多いです。しかしながらこの本は、比較的ニュートラルな視点で記述されていますし、論理的な説明が多いので読みやすい本と言えます。さらに現役のショップオーナーですので、実務をこなしている人間ならではのものの考え方も見えますので、面白く読めます。

 新入社員の方や経営分析に不慣れな方の参考書になるでしょうし、多少慣れた方でも頭の体操となることは間違いありません。

 実際のビジネスをベースとした、暇つぶしをしてみたい方に。