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■情報大爆発 (5/6/2008)
秋山隆平 宣伝会議 \1,800
私が主張する「情報が再生産される」、という考え方を証明してくれる本でしたので、ご紹介です。
インターネットを中心としたITの急速な普及は、マスメディアを通じた一方的な情報提供社会から、個々人と企業を相互につないだ高度情報化社会を生んでいます。誰もが情報を受けるだけではなく情報を発信できる社会は、人類が経験していない社会といえます。その社会においては、情報そのものが価値を持たなくなり、その解釈や連関性の発見に価値がうまれてくる、まさに情報活用社会が生まれているというのがこの著者の主張です。私自身それに符合する事実を日々体感していますから、その主張に説得力を感じ面白く読むことが出来ました。ただし説明がやや冗長な点は残念であり、読み方によっては退屈するかも知れませんが、その考察や論理展開は私には面白く感じました。
もう一点面白かったのは、本の上半分がプレゼンテーション資料、下半分がプレゼンテーション内容になっている点ですかね。プレゼンテーション資料作成や実施のヒントとしても使えるかも知れません。
情報化社会の現在と未来を考えてみたい方に。
■自滅する企業 (5/6/2008)
J・N・シース 英知出版 \1,900
ここに紹介するにはちょっと堅い本ですが、私には面白かったのでご紹介です。
この本はウォートン経営戦略シリーズということで、いわゆるMBA系の本になります。しかしながらその技法や考え方を述べたものではなく、さまざまな優良企業がなぜ没落したのかという原因を、様々な角度から検証しています。登場する企業が非常に興味深い企業ばかりで、たとえばDEC、ゼロックス、AT&Tなどのかつての名門IT関連企業も数多く紹介されています。
著者は没落の原因を従来の「適者生存」「必然性」「蓋然性」といった考え方ではなく、「現実否認」「傲慢」「慢心」「コア・コンピタンス」「競合近視眼」「拡大強迫観念」「テリトリー欲求」としており、その予防策も記しています。現在の日本企業にこれを当てはめて考えてみたり、マイクロソフトやYahooに当てはめてみて考えてみると、本当に面白いと思います。
今後没落するであろう企業と、その原因を予測してみたい方に。
私が面白かったのは、日本のITベンチャーが育たない理由でした。ビジネスモデルに注力してしまい、核となるべきテクノロジや技術革新に対する意識が低い。これは鋭い指摘と思います。目先のお金に終始してしまい、本来すべきことが出来ていないのは、本当にそう感じますし、それらを解消する若者がいずれ生まれてくることを心から願っていますが。
わくわく感とともに、次のITの世界を考えたい方に。