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なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?  (9/1/2008) 

 瀧口範子  プレジデント社 \1,429

 もともとはタイトルのテーマにつられてかったのですが、予想に反して非常に面白いエッセイ集だったのでご紹介です。

 この本は日経パソコンオンラインの記事である「シリコンバレー通信」の再編集版のようですが、そのテーマの選択と内容が非常に面白く、アメリカのIT産業を中心とした様々な動きが紹介されています。そのテーマの一つが「なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?」というものでした。読む前はアメリカ人の意識の低さやアメリカの産業廃棄メカニズムを批判した内容なのかと思っていたのですが、まったく違っていました。詳しくは書籍を御覧いただきたいのですが、要は環境意識が高い人間にとっても分別の負荷は高く、それを強いることは結局分別に繋がらないという当たり前のことに、米国が気づいたということです。人間に負担をかける仕組みではなく、人間に負担を低くする仕組みを考え、実現する。この当たり前のことを理詰めで行える米国に、感心されられました。

 

おもてなしの経営学  (8/24/2008) 

 中島聡  アスキー新書  \752

 ちょっと前に購入していたのですが、ちゃんと読んだら非常に面白かったのでご紹介です。

 著者の中島氏は、日本では珍しい筋金入りのギークであり、その経歴・実績は非常に華々しいモノです。実は米国製と思われていたWindowsのインタフェースプログラムの多くが、中島氏の開発プログラムだそうで、さすがにその事実に驚かされました。実際にその経歴からみても真実であり、その方のものの見方ですので非常に面白い本になっています。

 この本は中島氏の考えるITの未来について、様々な角度から説明されています。iPhone、Googleなど新しいIT勢力の意味すること、今後のITの変化と社会構造の変化、その中でどのような技術者が必要とされるか、その技術者を育てるために企業はどうあるべきか、強烈な批判を含めて考えを知ることができます。その視点の鋭さ、その考察範囲の広さと深さ、さらにテーマの斬新さが非常に面白く、参考になりました。その中でも今後のさらなるIT化を進めるためには、「ITを理解した経営者」と「ビジネスを理解したIT技術者」の二つの人材層が必要だという考えには、極めて共感しました。
 またその中で出てくるマイクロソフトのエピソードや、SONYやAppleといった企業の動きなど、参考になる情報も多いですし、最後の2ちゃんねるの西村博之氏、元アスキーの古川亨氏、フューチャリストの梅田望夫氏との対談も非常に面白く読めます。

 ということで、ITの未来について確かな手応えと啓示を得たい方に。

 またこれ以外のさまざまなテーマも、本当に面白い。私が漠然と考えていることを本当に突き詰めているIT業界の先達の多さに驚きますし、こんな環境に住んでいたら、凡庸な私でももう少しとんがった人間になれるかもと思わされる内容でした。昔の夢である「米国に住む」ということを、久しぶりに思い出しちゃいました。

 ということで、米国のテクノロジとビジネス、並びに生活を取り巻く最新状況を知りたい方に。