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■焼き鳥はなぜ串に刺さっているのか? (12/1/2008)
初鹿野浩明 PHP研究所 \1,500
タイトルはちょっと何だ、という感じですが、非常に真面目に生産管理を語った本だったのでご紹介です。
この著者、ちょっと経歴が変わっていまして、信越化学からホテル・レストラン・弁当製造販売の経営を行った後にコンサルタントをやってらっしゃる方です。飲食店経営を成功させてコンサルタントになる方は少なくありませんが、その多くが精神論とか実践論の本を書かれます。しかしこの本、本当にまともな生産管理の本でした。具体例として飲食店をベースにしていますが、別に飲食店だけでなくあらゆる製造業に役立つ話しが、科学的に説明されています。見込み生産、受注生産、ロット生産、サイクルタイムなど、やや取っつきにくいテーマをやさしい例を元に説明していますし、その内容も比較的まともで読みやすいです。
一点だけ難を言うと、やさしく説明しようとしたあまり公式や数式が複雑になり過ぎた点です。私のように数字が苦手な人間には、やや読みづらくなってしまったことが残念です。
ということで、生産管理の基本を知りたい方に。
■知的創造の現場 (12/1/2008)
トーマス・J・アレン、グンター・W・ヘン ダイヤモンド社 \1,500
イノベーションを起こすためにこんなアプローチもあるんだ、とういことを教えてくれた面白い本ですので、ご紹介です。
この本、タイトルだけみると経営学書のように思えますが、正確に言うと建築工学の本です。筆者はプロジェクトハウスと呼んでいますが、知的創造性を高めるオフィスやビルのあり方について論じた本であり、非常に面白く読むことが出来ました。「思索の場」という言葉があるとおり、知的創造のためにはそういった環境が大切なことは間違いありませんし、海外のIT企業はこういった場を積極的に作り出そうとしています。たとえばモトローラもそうですし、マイクロソフトやSASも有名です。日本ではかつてのプライス・ウォーターハウス・クーパースのパートナールームなども話題に上がったことがあります。こういった知的創造を産み出す環境の必要性と、どのような構造がそれらを産み出しやすく、その理由として何が考えられるかをさまざまな例をもとに紹介してくれます。実例として上がっているのはBMWやミュンヘン大学などであり、写真入りの紹介は説得力を持ちます。
ということで、日本に欠けている知的創造を強めるための、一つの秘訣を知りたい方に。