大地震の影響が続きます。被災者の皆様、ご家族やご親戚、ご友人が被災された皆様、心からお見舞い申し上げます。
今回の大地震では津波という災害の影響が大きく、その被害が甚大となりました。津波は世界的に「Tsunami」と呼ばれるとおり日本で古来から知られてきた現象ですが、近年の防波・消波技術の向上と発生頻度の低下から、近年その威力を忘れてきたといえます。もちろん今回の地震は世界的にも最大級のものであったため、津波の威力もこれまでの想像を絶するものとなり、被害も甚大になったといえるかもしれません。しかし歴史を眺める限り、この100年でも津波は数回起きており、それによって数万名の人命が失われています。となれば我々はその備えを再度考える必要がありますし、防ぐことはできなくてもそれを前提とした設備や避難のあり方を検討する必要があると思います。後出しジャンケンのようになりますが、原子力発電所などの重要設備はこういった構えをすべきですし、重要なインフラもこういった構えをおこなうことが大切となるのでしょう。
ともあれまだまだ多くの方の行方が解りませんし、海上・海中には多くの方の遺体があると思われます。少しでも多くの方の亡骸が発見されることをお祈りしたいと思っています。
まず皆様にお願いしたいことは、募金です。これだけ物流が混乱している現状では、物資の送付は現実的ではありません。また半年も経てば災害の事実は風化し、被災地は切り捨てられてしまいます。そういった可能性を少しでも低減し、長く被災地にできる支援は募金ですから、ぜひとも皆様の暖かい支援をお願いしたく存じます。
募金に関しての私のお勧めは、さまざまなショッピングポイントです。直接的な現金の送金には面倒さや負担が感じられるかもしれませんが、ポイントの利用であれば負担は少ないと思われます。
皆様の財布やPC上にあるYahooポイントやTポイントは、それぞれ募金用の手段を準備しています
。遅ればせながら楽天ポイントも、募金が可能になりました。こういった余剰のポイントを送金していただくだけでも、相当な金額になると思われます。もちろん企業内で直接募金を行っている場合はそこでご協力いただくことも素晴らしいと思いますが、そういった手段がない、
あるいは街頭の募金が信じられない方は、ぜひともポイントによる募金をお願いします。ちなみに私はYahooポイント、Tポイント、楽天ポイントを寄付させていただきました。
閑話休題。
今回の大災害において私自身が悔しいのは、やはりITが無力であったということです。これだけの規模の災害において、電力を必要とするITがここまで無力であることが
、プロとして悲しくもあります。
阪神・淡路大震災や中越沖地震でも感じたことを、再び感じなければならない無力さが、自分でも切なく悔しくもあります。
このような状況の中、本気で対策を考えなければならないと思っていますし、いわゆる防災や建設の観点ではなく、ITの観点から甚大災害の復旧について考えを煮詰め、実現していく努力が私自身に求められている気がします。私自身が日頃考えていることに、今回の大災害の状況を加味すると、以下のような対策を現実にしていく必要があると思っています。順番はランダムですが、基本的な構想をご説明します。
- 災害復旧のための経路確保を確実にする物流システムを構築する
災害時は常にそうですが、まずはアクセスが大きな問題となります。多くの場合鉄道や道路は寸断されますし、海上輸送が難しいケース、あるいは物理的に不可能なところも少なくありません。となると、まずは幹線の復旧と、そこに物資を流通させる仕組みが必要となります。ステップとしては、次のようになるのでしょう。
・・ルートとバックアップルートの計画
・・ルート上の物理的障壁の状況と規模情報の収集
・・ルート上の物理的障壁を取り除く重機や機器と人的資源の必要数見積り
・・必要重機・機器と人的資源の所在、在庫・ロケーション把握
・・距離、復旧資源と労力、物流量をバランスさせた最適ルート計算
・・最適ルート計画に沿った重機・機器、ならびに人的資源の最適分配
・・作業の進捗管理と次工程作業に関する上記の繰り返し
・・問題点管理とフォロー
多くの必要重機・機器や人的資源は、自衛隊や土木関係者に協力を仰ぐことになるのでしょう。となると、公的な仕組みとしてこれを整備し、自衛隊と公的事業従事者(公共工事受託者)の優先登録と協力が重要になると思われます。
阪神大震災の際もそうですし今回もそうなのですが、被災地の近くまで物資は届いても、その先に物資が届かない現実がまだあります。
今回の場合は、ガソリン不足で被災地まで物資が運べていない状況です。もちろん都心部を中心としたガソリンの買い占めがその引き金をひいていますし、もとはといえば電力会社の脊髄反応(電気がないから使わせない)が引き金かもしれませんが、現実としてガソリンが不足しています。とはいっても、現実日本にないわけではなく、首都圏以西のタンクにはまだまだたくさんの燃料が貯蔵さています。もちろんそれらを運ぶタンクローリーやドライバーもいますので、燃料の移動は可能なはずなのです。
かつて米軍は湾岸戦争において、ILSという仕組みを開発しました。これは兵站のしくみであり、遠方の戦線に大量物資を送り込む戦争方式から、必要なものを必要なだけ送る仕組みに転換するキッカケとなりました。たとえば戦闘機を前線で飛ばすためには、戦闘機、パイロット、燃料、弾薬、整備兵、整備部品が必要となります。また空港の整備維持のために各種要員や支援車両、物品が必要となることはお分かりいただけると思いますし、それらの大量の人々が生活するための建物や備品、食料が必要ととなります。さらに戦闘機やパイロットは減耗の可能性がありますから、常時補給が必要です。湾岸戦争は米国にとって地球の裏側で起きたものであり、そこに物資を送ることの難しさから、この仕組みが活用されました。こういったきめ細かな物資の非同期の動きを、人間がコントロールすることは不可能です。だからこそ、ITの発達とともにそれらが可能になり、その結果として湾岸戦争で勝利を収めることができました。
この考え方を、災害時の復旧支援に生かすべき、というのが私の主張です。上記により確保された被災地までの経路をベースに、以下のようなステップで物流を行います。
・・必要資源の種類・量と必要箇所の収集
・・提供可能資源の種類と量、備蓄場所把握
・・それらを運ぶ車両と燃料、人員の見積り
・・距離、必要資源量、ロケーション、積載・移動労力、物流量をバランスさせた最適ルート計算
・・最適ルート計画に沿った必要資源と人的資源の最適分配
・・作業の進捗管理と次工程作業に関する上記の繰り返し
・・問題点管理とフォロー
ここにさまざまな企業の支援物資を重ねれば、相当迫力のある被災者支援網ができますし、自治体や一般の寄付も乗せると、かなりの災害で効果を発揮することが可能と思われます。
政府や自治体で許可を得た車両のナンバーを登録し、それをもとに検問をおこなう仕組みを作ります。ナンバーによる画像認証を含めたAR(拡張現実)システムを搭載したスマートフォン
やタブレットPCにより、警察などが検問を行うと良いと思います。そうすれば、必要な車両のみが通行可能となりますし、スマートフォンに許可登録を行う仕組みを入れれば、
必要性が高く許可のない緊急車両の通行もスムーズにできます。
とここまでが被災者支援の仕組みですが、今回の計画停電による都市部の麻痺のように、影響を受ける周辺部や都市部の対応をも考えておく必要があるようです。
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