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■「勝ち」より「不敗」をめざしなさい (6/14/2009)
守屋 淳 biz講談社 \1,300
正直ほとんど期待せずに読んだのですが、意外に拾いものだったのでご紹介です。
タイトル通り、成功の法則を説明した本ですが、この本は「不敗」を中心に考えを述べています。私も自分の師匠から「勝負に勝つ秘訣は、絶対に負けないことだ」と強く教わっていますのでこの通りの考え方をするのですが、それを歴史的に照明しているのがこの本でした。
なぜ負けないことが素晴らしいのかはこの本で学んでいただきたいですが、それぞれのテーマについて非常に論理的かつ実証的に説明されている点に感心してしまいました。論文や執筆の基本としても参考になると思いますし、文字数が少なく平易なので、本当に読みやすいことは間違いありません。ただし目標設定と大局観(方向性)のところは、やや論理矛盾が感じられ素直に読むことはできませんでしたが。
ということで、勝負に勝つ秘訣を、戦略的/論理的に学びたい方に。
■出稼げば大富豪 (6/14/2009) 
クロイワ・ショウ KKロングセラーズ \1,600
なんとも感想を述べにくい本でしたが、ある意味で確信犯的な本だったのでご紹介です。
内容はずばり、「夢をかなえるゾウ」のパロディ版です。どうして成功者は関西弁をしゃべらなければならないのかわかりませんが、ガネーシャの実物版たる関西人の「兄貴」という方が、バリで成功した秘訣を通して成功の秘密として説明しています。筆者の言葉を信じれば、この筆者の現実の体験が書かれているものだそうですが、これがまた見事に嘘くさい。内容もほぼ夢をかなえるゾウであり、違いはこの著者の体験談として書かれている点だけです。世界を眺めると、このレベルの成功を収めた方は結構いらっしゃいますし、私がかつてあったビバリーヒルズの億万長者の方もそんなタイプでした。(その方はミラーボールで、富豪になっていました。)
この虚構的嘘くささが現実であれば本当に面白いと思いますが、そこからなにを学ばせたいのかよくわかりません。仮にこれが正真正銘の現実であっても、その成功の秘訣やポイントがあまりに雑なので、どのように学んでよいのかもよくわかりません。つまり成功者の格言を並べただけで、そこから学ぶことは読者にゆだねている点が私には問題に感じたのかも知れません。最近はやりの自己啓発的モチベーション向上本とするならば読めるかもしれませんが、それでも私には効果が低く感じました。
この方自身がドクターの卵で、研究している理論がこれまた怪しいのが笑えます。(「対話型進化計算に基づく男女の相性を考慮した合コンへの割当手法」が論文のタイトルらしいです。)しかし面白いのは、その兄貴に会いに行くバリ島訪問ツアーまで募集しており、7月9日出発だそうです。費用は13万ぐらいですから、思わず行っちゃおうかと思いましたが日程が合わなかったので見送りました。
ということで、ウソのような現実か現実のようなウソを学びたい方に。かな。