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■コンテキスト思考 (6/28/2009)
内藤 純 東洋経済新報社 \1,600
どんな本かわからないまま読んだのですが、新しい発想や考えを知ることが出来たのでご紹介です。
この著者の主張は、思考の背景には「コンテンツ」と「コンテキスト」というものが存在する、ということです。Webコンテンツ同様、コンテンツとは物理的に把握できるものであり、その背景や因果という物理的には明示できない存在をコンテキストと呼んでいます。このコンテキストの存在によって、さまざまなコンテンツを活用することが出来、さらに思考を広げられるというのがこの本の主題です。またコンテキストを3つのフレームから説明しており、比較的具体的かつ納得のいく内容でした。
このところ若者の思考力の低下や想像力の低下を憂いていましたが、その原因の一つとしてコンテキストの存在があることは間違いないように思いましたし、コンテキスト思考の育成とともに想像力が高まっていくことは確信できました。現在主流なのはコンテンツに関する思考法であり、それだけに偏ることの問題点をきちんと認識できたことは、意義のある本と思いました。ただしやや内容的に論理矛盾を感じたり、前提に無理を感じる部分もありますので、すべてを納得できるものではありません。まだまだコンテキストという考えを、整理する必要があるように思いました。
ということで、コンテキストという新しい考え方やヒントを得たい方に。
■天才! 成功する人々の法則 (6/28/2009)
マルコム・グラッドウェル 講談社 \1,700
天才、というタイトルに惹かれて読んでみましたが、結構面白かったのでご紹介です。
その名の通りこの本では、天才に関する分析が行われています。しかし単なる天才論ではなく、天才が生まれる要素を分析しており、その視点がユニークで説得性があるものでした。生まれつきの才能は誰しも持っているものであるが、それを伸ばして生かすには別の視点が必要になり、逆に才能があってもなからずしも成功できないということが、論理的に説明されています。結論としては、天才が天才として能力を発揮するためには膨大な努力が必要であり、その育成の環境も重要となるのが結論です。逆にどのように才能を持っていても、それを伸ばすことは別の次元であり、さらに延びたとしてもsの環境が十分でなければ成功できないということが論理的にわかります。
私にとって面白かったのは、文化背景が才能の伸張や速度に大きな影響を与えるというところでした。日本という環境がなぜ数学を強くするのか、一つの考え方はわかりましたし、その文化が失敗に繋がるところもあるというのが面白く、かつ今後のヒントになりました。しかし残念なのは、結果としての天才論ですから、天才でないまま成人した人間にはほとんど役に立たない点です。自分の子供の才能を伸ばすためにはよいのでしょうが、うちはほとんど完成してしまった子供しかいないので、ただただ反省しか残りませんでした。
ということで、今後優秀な子供を作りたい親に。