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■デジタルネイティブの時代 (6/14/2009)
木下 晃伸 東洋経済新報社 \1,500
タイトルにつられて何となく買ってみましたが、意外と面白かったのでご紹介です。
この著者は「デジタルネイティブ」と呼んでいますが、生まれたときからデジタル機器や情報技術が溢れている時代に生まれた若年層を解説した本です。確かに最近の若者にとってデジタル機器を所有しているのは当たり前であり、そのコミュニケーションのあり方も我々と明らかに異なります。さらにゲームに代表されるように、その操作技術も非常に卓越したものがあり、身体の一部のように機器を使いこなすことが出来ます。
そういった新しい世代、まさにデジタルネイティブが市場を占める中、デジタルノンネイティブである我々がどのようにこの世代を考えていくかを説明した本であり、次世代のITを考える上で参考になる話しもあります。ただし全体的に表面的な説明が多いため、やや説得性にかけることが難点ではありますが、それでも問題提起という意味では面白いと思いました。
ということで、次世代のテクノロジーの方向性を考えてみたい方に。
■自分の答えのつくりかた (6/7/2009)
渡辺健介 ダイヤモンド社 \1,600
ベストセラーとなった世界一やさしい問題解決の授業の続編であり、発売前から大々的に宣伝をしていましたが、とりあえず読んでみましたのでご紹介です。
この本の評価を一言で言うのはちょっと難しいのですが、基本的には問題解決思考と意思決定を説明した本となります。ただし前作同様物語調でやさしく書かれており、非常にわかりやすい内容となります。また主人公が海外留学を行うことが基本テーマとなっているため、異文化とのコミュニケーションや、異文化と自文化とのギャップを比較文化論的に学ぶことが出来ます。説明されている技法などはごくわかりやすいものばかりであり、論理的にものを考え意思決定につなげる、という過程も詳細かつ具体的に学ぶことが出来ます。
しかし物語が後半で激変してしまい、ある意味息切れ感が強くなったことが残念です。前半で問題解決や意思決定の基本を説明し、後半はそれを実践する時の問題や具体的な調査方法などを提示していますが、その点ではあまり違和感がないように思えます。しかし物語のストーリーとしては、前半と後半の内容があまりに違いすぎ、ストーリーが破綻してしまいました。特に前半でネタふりをしたさまざまなキャラクターとの関係や出来事が、十分な説明がないまま後半でまったく放置されてしまうため、読み物としての完成度は非常に低く、フラストレーションを感じました。この本の続編がさらに出版されるのであればそこで完成させるのかも知れませんが、その可能性も低いですし、続編までの間隔が空くのであれば意味が薄れると思われます。執筆をしてきた私としては、要するにストーリーを続けることに飽きた、という感じの内容になってしまったことが残念です。
しかし問題解決と意思決定という観点で読む価値はありますし、留学等で海外文化に触れる可能性がある方のヒントになることは間違いありません。
ということで問題解決と意思決定、ならびに異文化との接し方を理解したい方に。